2006年9月22日(金)「しんぶん赤旗」

規制改革会議

宮内氏が議長辞任

首相了承 10年間旗振り役


 政府の規制改革・民間開放推進会議の宮内義彦議長(オリックス会長)は二十一日、首相官邸で小泉純一郎首相と会い、「首相が勇退されるので、わたしも辞任したい」と述べ、首相の退任を機に議長職を退く意向を伝えました。これに対し、首相は「長い間ご苦労さまでした」と了承しました。

 同会議は財界とアメリカの要求にもとづき、規制緩和・民間大企業のビジネス拡大を推進。「混合診療」の解禁など医療や教育、労働、通信など国民生活にかかわる分野に「市場原理」を持ち込む“司令塔”となってきました。

 宮内氏は一九九六年に行政改革委員会の規制緩和小委員会の座長に就任。二○○一年五月に総合規制改革会議(現在の規制改革会議の前身)の議長につくなど十年にわたって政府の「規制改革」の旗振り役をつとめてきました。

 後任について政府は二十六日の安倍新政権発足後に決める方針。同会議の総括主査として宮内氏を支えてきた草刈隆郎氏(日本郵船会長)の名前が浮上しています。


「規制緩和」推進 格差と貧困うむ

解説

 規制改革会議の宮内義彦議長が来年三月の設置期限を待たずに辞任表明したことは、小泉内閣がすすめた規制緩和路線の破たんと行き詰まりを浮き彫りにするものです。

 宮内氏は、“規制緩和すればすべてよくなる”とばかりに「規制緩和万能論」を振りまき、「官から民へ」と称して政府や自治体の役割をどんどん後退させ、公共サービスを営利企業に丸投げするよう求めてきました。

 耐震偽装や村上ファンド事件などで明らかになったように、規制緩和路線が大企業と大資産家に巨利をむさぼらせる一方で、国民には格差と貧困をひどくし、安全や安心をズタズタにしたことは隠しようがありません。

 宮内氏はじめ規制改革を推進してきた当事者自身が、規制緩和でばく大な利益を得ていたことも見逃せません。

 宮内氏が会長をつとめるオリックスは、リース(賃貸)事業などの規制緩和で急成長をとげ、村上ファンドもオリックスが実質的に創設し、巨額の利益を得ていました。

 財界・大企業がみずから規制緩和の仕掛けをつくり私腹を肥やす―規制緩和が、財界直結の最悪の利権政治をつくるためであったことが明らかとなるなかで辞任せざるを得なくなったものです。

 宮内氏が辞任し、小泉首相が退陣しても、規制緩和路線が改められるわけではありません。

 宮内氏がまとめた答申は政府の規制緩和三カ年計画となっており、公共サービスを企業に丸投げする「市場化テスト」や自治体の公共施設を企業に委ねる「指定管理者制度」など作られた悪しき制度も働き続けます。

 新政権を担う安倍晋三氏も規制緩和路線の推進に変わりはなく、規制改革会議も継承して引き続き財界人をトップに据えることや、答申に強制力を持たせるなどいっそうの権限強化まで検討されています。

 破たんした規制緩和路線をあくまで突き進めば、国民との矛盾は避けられず、いっそう深刻な行き詰まりに直面せざるをえません。(深山直人)


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