2006年9月16日(土)「しんぶん赤旗」

北朝鮮核問題

米韓が「包括案」作成

首脳会談で合意 「6カ国協議通し解決」


 【ワシントン=鎌塚由美】訪米中の韓国の盧武鉉大統領は十四日、ホワイトハウスでブッシュ米大統領と会談しました。韓国側発表によると、両首脳は北朝鮮の核開発問題をめぐる六カ国協議に同国が早期に復帰し、昨年九月の六カ国協議共同声明を実践するための「共同の包括的な取り組み案」を作成することで合意しました。


 ブッシュ大統領は会談後の記者会見で、「われわれは北朝鮮問題を平和的に扱うために、六カ国協議への参加を再確認した」と述べ、六カ国協議を通して北朝鮮の核放棄を促す姿勢を改めて強調。ブッシュ氏は、六カ国協議復帰こそが北朝鮮にとって「究極の利益となる」と語りました。

 盧大統領は「共同の包括的な取り組み案」について、米韓両政府の実務レベルで協議中だとし、「内容は非常に複雑だ」と語りました。韓国側発表によると、すでに中国と取り組み案についての協議を進めており、日本、ロシアとも調整の上で完成させるといいます。

 六カ国協議共同声明は、北朝鮮が核開発を放棄する一方で、日米両国が北朝鮮と関係正常化に乗り出すことなどを盛り込んでいます。

 また盧大統領は、北朝鮮の七月のミサイル発射に対する安保理決議に基づく追加的制裁について問われ、韓国政府はすでにコメと肥料の支援を中断していると述べ、「事実上の制裁」だと指摘。「(追加の)制裁は六カ国協議が失敗した場合にありうる問題であり、いまそれを話すのは適切ではない」として、反対する姿勢を示しました。

 また両首脳は、朝鮮半島と北東アジアの将来について意見を交換。「二十一世紀の状況に合わせた新しい安保態勢、新たな秩序、多国間安保協力体制」などについて協議、今後も話し合っていくことで合意しました。

 現在、韓国内で野党が反対している在韓米軍から韓国軍への戦時作戦統制権の返還については、ブッシュ大統領は「私と盧大統領は、この問題が政治問題化してはならないとの点で合意した」と強調しました。

 この問題では、韓国側は二〇一二年の返還を求めたのに対し、米国側が〇九年への前倒しを提案。韓国内では野党が「早期返還は韓国の国防力と米韓同盟の弱体化をまねく」と批判しているのに対し、政府・与党は「自主国防の実現が早まる」と主張しています。

 両首脳は会談で十月の年次安保協議(国防相会談)で返還時期を決めることで合意しました。


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