2006年9月15日(金)「しんぶん赤旗」

解説

01年以降 事故多発60件、対策急務


 中央道の多重衝突事故現場は、下り坂の急カーブ。「魔のカーブ」の難所といい、これまでも事故が続発していました。中央道では八月下旬にも大型トラックなど七台の玉突き事故(岐阜県土岐市)が起きたばかり。高速道路での大型トラック多重衝突事故防止対策の強化が迫られています。

 中央道を運営する中日本高速道路(名古屋市)によると、事故のあった未明は、中央道を走行する89%を大型トラックが占めます。現場付近での衝突事故は二〇〇六年でもすでに六件目。二〇〇一年以降、六十件もの事故が多発しています。このため、二〇〇三年度にスリップしにくくするため路面を雨水が浸透するものにかえ、急カーブに注意を喚起するなど事故防止対策がとられました。しかし、いぜん事故が続いています。

 高速道路での大型トラックの追突事故があとを絶たないため、国土交通省交通政策審議会自動車交通部会のワーキンググループはことし六月、事故が起こった場合、被害が大きい大型車にレーダーを使った「衝突被害軽減ブレーキ」をとりつけて車間距離を確保することを提起。すでに高級乗用車では取り付けがすすんでいます。しかし、同省は大型車への同ブレーキの義務付けはせず、補助や優遇税制などの具体策実施も二〇〇七年度以降というのが実態です。

 トラック運転手からは「規制緩和と原油高を背景にした経費削減の影響もあり、しわ寄せが運転手に出ている。規制緩和にメスをいれないと大事故は減らない」という声も。事故原因をドライバーの不注意などのせいだけにすることなく、有効な安全対策の構築が道路管理者・国・自動車メーカーに迫られています。(宇野龍彦)


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