2006年9月14日(木)「しんぶん赤旗」
福島県談合
受注組み合わせ指定
下水道工事 辻容疑者が仕切る
リベートは2%か
福島県発注の下水道工事をめぐる談合事件で、競売入札妨害(談合)容疑で逮捕された「仕切り役」の設備会社社長辻政雄容疑者(59)が、準大手ゼネコン「東急建設」の依頼を受け、同社と地元最大手「佐藤工業」との共同企業体(JV)の組み合わせを決めていたことが、関係者の話で分かりました。
辻容疑者は佐藤栄佐久福島県知事の支援者。受注業者から地元の仕切り役に支払われるリベートは「土木は2%、ダムは1%が相場」(県土木部ОB)だったとされ、県政への働きかけなどについて解明が必要です。
東京地検特捜部の調べによると、辻容疑者、佐藤工業会長の佐藤勝三容疑者(66)らは二○○四年八月の阿武隈川の「流域下水道整備工事」の入札で、東急・佐藤JVに落札させるため、ほかのJVと談合した疑い。佐藤工業は地元業者間の談合で、地元「チャンピオン」に決定しており、JVの相手に指定された時点で、東急建設の受注が事実上決まったとされます。
地元建設会社の元社長は「福島では、ゼネコンと地元業者がそれぞれ『チャンピオン』を決め、両社がJVを組んで受注する仕組みだった」と証言します。
同県では、ゼネコン側の談合は、大手ゼネコン「鹿島」の東北支店幹部が取りまとめていたとされます。東急建設は、辻容疑者の意向で佐藤工業とJVを組んで受注業者となることを鹿島側に報告、了承を得たといいます。こうした調整の結果、同工事は東急・佐藤JVが約八億一千万円で落札。落札額の一部が、謝礼として辻容疑者に渡されたとされます。
あるゼネコン幹部は「ゼネコン汚職事件以降、県側が『天の声』として直接意思を示すことはなくなった。県土木部ОBや知事周辺者が『知事の意向だ』と言い出すと、真偽を確認しないまま、それが通用するようになっていった」と話します。その結果、辻容疑者のような仕切り役が介在することとなり、ゼネコン関係者は「東北地方でも福島は特殊。一番カネがかかる」と証言します。

