2006年9月14日(木)「しんぶん赤旗」

地域別最賃

全都道府県でアップ

2年連続 2〜6円引き上げ


 これ以下で働かせてはならない最低限の賃金(時間額)を定める二〇〇六年度の地域別最低賃金が二年連続で全都道府県で引き上げられることになりました。厚生労働省がこのほど発表しました。各地で二円から六円の引き上げとなり、一部を除き十月から実施されます。

 最高額は東京の七百十九円で、最低は青森、岩手、秋田、沖縄の四県で六百十円。全国平均は前年度五円増の六百七十三円になりました。

 引き上げ額は、愛知の六円を最高に、宮城や群馬、広島など十一都県で五円とする一方、青森や沖縄など九県では二円にとどまりました。

 厚労省の中央最低賃金審議会は七月、地域別に二円から四円の引き上げ額の目安を答申。都道府県をAからDまで四つに分け、AとBを四円、Cは三円、Dは二円の引き上げ目安額を示していました。

 この目安額に上積みした地方の最賃審議会は宮城と群馬、愛知の三県が二円、二十六都県で一円。このほかの十八道府県では上積みは見送られました。

 全労連などでつくる国民春闘共闘委員会は、「時間額を千円以上に」と街頭宣伝や労働局要請、最賃生活体験などの取り組みを各地で実施。低額の引き上げにとどまった地方審議会の答申に対し、四十一都道府県で異議を申し出ました。

各地で運動広がる

 最低賃金の引き上げを求め、各地で運動と世論が広がっています。

 京都総評は、まともに生活できない最低賃金額などを問い直すため、「最低生計費」を試算。「千百十二円が生活できる時給です」と、街頭などで訴えて賛同を広げてきました。

 京都の最賃額は六百八十六円に引き上げられたものの、試算した最低生計費の六割にとどまる水準です。辻昌秀副議長は「増大するワーキングプアの人たちを救うのは最低賃金です。最賃額の引き上げや生活保護水準の目安を示す最低生計費を国民の中に広めていきたい」と語ります。

 東京春闘共闘会議では、全都内のパートとアルバイトの求人時給の約二千件を集計したところ、平均は九百五十一円。一方、自治体で働く非正規職員では一般事務の平均時給が八百五十一円で、民間より百円も低いことが自治体アンケートからわかりました。

 この実態をもとに、非正規職員の待遇改善などを求めた自治体キャラバンを実施。二年目の今年は都内五十三自治体のうち四十六自治体と懇談しました。初めての取り組みとなった昨年以降、世田谷区では一般事務の八百円だった時給を五十円引き上げさせています。

 医療の分野で、最低賃金の引き上げを求める運動も広がっています。

 秋田県医労連は七月、病院で働く看護師と准看護師を対象とする産業別最賃の新設を求めて秋田労働局に申し出書を提出しました。申請には県内の看護師らの過半数を上回る約三千七百人の同意が集まりました。

 申し出は十一日、地方最低賃金審議会の特別小委員会で審議されました。低賃金の実態や深刻な看護師不足など医療の厳しい状況から、再度、月内に審議されます。日本医労連では秋田に続き、岩手、山形、福島、長野、島根、山口の六県でも申請を予定しています。

表

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