2006年9月6日(水)「しんぶん赤旗」

温暖化ガス

2020年までに25%減

米・カリフォルニア州 独自の法律

中間選挙前 知事と議会が協力


 【ワシントン=山崎伸治】米カリフォルニア州議会は八月末、州内の温室効果ガスの排出量を二〇二〇年までに現状から25%削減し、そのため主要産業に削減を義務付ける法案を可決しました。シュワルツェネッガー知事も署名する意向を表明し、全米で初めて州独自の排出目標枠を設定することになります。


 カリフォルニア州の温暖化対策立法化は、同対策に消極的なブッシュ政権には大きな批判となります。同州の環境保護団体「環境カリフォルニア」は「長い間、世界は米国が地球温暖化に対処することを待ってきた」として、同州の措置が米政府の政策見直しにつながることに期待を表明しています。

 地球温暖化の原因といわれる二酸化炭素の排出量は、カリフォルニア州が米国内の10%、世界の2・5%を占めます。同州では〇四年、新車から出る温室効果ガスを一六年までに30%削減するよう義務付けています。

 今回の法律が正式に発効すると、州政府から独立した「大気資源委員会」が州内の発電所や製油所、セメント工場その他の産業による温室効果ガス排出量を測定。その結果をもとに、それぞれの産業ごとの排出量制限を設定し、一二年から実行し、八年間で一九九〇年のレベルにまで削減します。

 法案は州議会のヌニェス議長ら多数派の民主党が提出。共和党の知事も趣旨には賛同し、両者で法案の内容について折衝が続きました。

 知事側は、排出量取引制度を盛り込めば、「産業界は『金になる』のでより早く排出量は減らされる」(ロサンゼルス・タイムズ)と主張。議会側や環境保護団体は同制度を支持しつつも、エネルギーの節約や効率化などの措置を先に講じるべきだとの立場でした。

 産業界も二分。取引制度が新たな投資対象になるとして歓迎する声とともに、排出量抑制のコスト増が商品の価格に上乗せされたり、州外に企業が逃げ出したりすることへの懸念を指摘する声がありました。

 一時は、州政府の関与をめぐり、知事と議会とが対立したものの、十一月の中間選挙を控え、「法案は、知事にとっても民主党にとっても、究極的にはカリフォルニアの有権者にとっても、重要すぎて廃案にすることはできない」(同紙)との政治的判断が働きました。

 ことに知事は支持率が低迷するなか、温暖化防止を中間選挙の重点政策に位置づけています。七月末には訪米中のブレア英首相と会談し、温室効果ガスの抑制で緊密に協力することで合意するなど、積極性をアピールしてきました。


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