2006年9月5日(火)「しんぶん赤旗」

ライブドア事件

錬金術師踊らせた自公政権

問われる規制緩和


 ライブドア粉飾事件の堀江貴文被告を「改革の旗手」などと天まで持ち上げたのは小泉自民・公明政権でした。その後の村上ファンド事件でもそうだったように、規制緩和路線のもとで、錬金術師たちを踊らせた政治責任は免れません。(森近茂樹)


 「堀江君は素晴らしい青年だ」「小泉内閣の規制緩和のおかげで、非常に商売がしやすくなっています」――。堀江被告と自民党の武部勤幹事長は、ライブドア社の機関誌『ライブドア』(二〇〇五年冬号)で対談し、エールを交わしたことがあります。

 〇五年九月の総選挙では、堀江被告が、郵政民営化に反対した亀井静香元建設相に対する事実上の「刺客」として無所属で立候補(広島6区)。自民党本部で立候補会見を行い、武部幹事長や竹中平蔵総務相ら党幹部、閣僚らが応援に駆けつけています。

首相も激賞

 小泉首相は、「新しい時代の息吹というかな、若い感覚をこれからの日本の経営に与えてくれる」(〇五年八月十六日、記者団に)と堀江被告を激賞。自民党は、総選挙後、党機関紙制作へのアドバイスも依頼していました。

 堀江被告と自民党の親密ぶりの背景にあったのが規制緩和でした。規制緩和の恩恵を受けていると自ら認め、テレビなどマスメディアにも人気タレントなみに登場していた堀江被告は、同党にとって規制緩和・構造改革路線の格好の広告塔だったのです。

 堀江被告は、政府の政策に乗っかって錬金術に走りました。株価のつり上げに使われた、無制限の株式分割や株式交換は、大企業やアメリカの利益優先の金融規制緩和によって可能になりました。

 不正な資金操作の「ブラックボックス」となった投資事業組合も規制が不十分です。とくにライブドアが多用した「民法上の任意組合」は、設立登記や情報開示の義務もありませんでした。ライブドア事件後に金融庁は、運営者の届け出制など一定の規制をすすめましたが、詳細な運用実態は不透明なままです。

抜け穴を利用

 こうした規制緩和の抜け穴を利用したのは、堀江被告だけではありません。企業買収などで堀江被告と密接な関係にあった村上ファンドの村上世彰被告も同様でした。同被告の指南役と呼ばれたのがオリックスの宮内義彦会長。政府の規制改革・民間開放推進会議の議長として金融規制緩和を推進した中心人物です。

 自民党には、規制緩和路線のもとで、これらの不祥事が続発したことへの反省はありません。それどころか、安倍晋三官房長官の発言(別項)のように、教育基本法改悪など悪政をすすめるために事件を逆手にとろうとしているのです。

 阪南大学流通学部教授の桜田照雄さんは、こう指摘します。

 「ライブドアや村上ファンドの事件は、政府がすすめた金融規制緩和の問題点を浮き彫りにしました。民法上の投資事業組合などの不透明な制度や、その運用を誰がすすめてきたのかきちんと検証する必要がある。一罰百戒的に堀江被告らを罰するだけで済ませるのではなく、規制緩和路線そのものを見直すべきです」


堀江被告持ち上げた 安倍官房長官

 ライブドア事件と規制緩和万能の小泉「構造改革」路線との関係では、自民党総裁選の最有力候補とされる安倍晋三官房長官の言動や政権構想が改めて注目されます。

 安倍氏は堀江被告がマスコミでもてはやされ、衆院選出馬が取りざたされていた昨年八月十七日、「小泉内閣が構造改革を進めなければ堀江氏は出てこなかった。自民党が変わったことがわかる」(TBS番組)とのべ、堀江被告と「構造改革」路線を大いに持ち上げました。

 ところが事件が表面化した今年はじめになると安倍氏は手のひらを返したように、「ああいう連中は大嫌いだ」などといいはじめ(「朝日」八月三十一日付)、さらには「堀江被告が法律を破っていたとすると、それは規制緩和の結果ではなく、やっぱり教育の結果なんだろう。教育基本法の改正はもう与党で最後の調整に入っている」(今年二月十七日の講演)とのべ、事件を教育基本法改悪の口実にするご都合主義の態度を示しました。

 今回の事件にたいする安倍氏の姿勢は、一日に発表した政権公約「美しい国、日本」でも浮き彫りとなっています。

 そこでは、事件の再発を防止するための反省も対策も一切触れない一方、教育基本法改悪を軸にした「教育の抜本改革」を、憲法「改正」などとならぶ基本方針として強調しています。


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