2006年8月30日(水)「しんぶん赤旗」

水谷建設事件から波及

福島県工事で受注工作

知事支援者、口利きか


 水谷建設(三重県桑名市)元会長水谷功容疑者(61)を法人税法違反罪で追起訴した東京地検特捜部は、福島県発注の工事をめぐる受注工作の実態にも関心を寄せているとみられます。疑惑は水谷建設にとどまらず他のゼネコンにも波及。受注の「口利き役」として、佐藤栄佐久福島県知事側と親しい人物の存在も関係者の話でうかんできました。


 特捜部は今月になって、福島県から過去十年分の工事に関する入札資料の任意提出を受け、担当職員から資料内容の説明を受けました。

 準大手ゼネコン「東急建設」(東京都渋谷区)などが受注した流域下水道整備工事や、地元業者が受注した自動車専用道路「あぶくま高原道路」整備工事など、複数の同県発注工事の入札に参加したゼネコンや地元業者の聴取を進めています。

 十五日には、東急建設の東北支店長が、特捜部の聴取後に自殺。同支店長は、談合による工事受注を認めていたといいます。

 同工事の受注業者選定には、佐藤知事の青年会議所活動の後輩で、実弟とも親しい支援者が関与したとされます。関係者は「支援者は知事の名前を使い、県工事の『口利き』をしていた。受注した東急建設とは、特に近い関係にあった」と疑惑を指摘しています。

 これまでに特捜部は、脱税事件の関係先として、佐藤知事の実弟が経営する親族会社「郡山三東スーツ」や実弟の自宅、中堅ゼネコン「前田建設工業」(東京都千代田区)などを家宅捜索。同社などの共同企業体(JV)が落札、水谷建設が下請け受注した県発注の「木戸ダム」建設工事をめぐり、入札に参加したゼネコン担当者から事情聴取しました。

 関係者によると、この工事は当初、別の大手ゼネコンが受注の「本命」とみられていましたが、このゼネコンが入札実施前に同県の指名停止処分を受けた結果、前田建設工業が落札。特捜部はこうした一連の経緯について、ゼネコン側から説明を求めました。


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