2006年8月30日(水)「しんぶん赤旗」
建国61周年迎えるベトナム
WTO加盟むけ準備
汚職防止 国民の信頼回復図る
【ハノイ=鈴木勝比古】ベトナムは九月二日に建国六十一周年を迎えます。六十周年の昨年はハノイで大パレードを開催しましたが、今年は特別の催しはありません。四月末のベトナム共産党第十回大会が選出した党の新指導部と六月の国会が選出した国家、国会、政府の新指導部の下で当面する重大な内外の諸課題への取り組みをすすめています。
国内法整備や競争力の強化
ベトナムは年内の世界貿易機関(WTO)加盟実現に備えて、国内の法体系の整備、各企業の競争力強化をすすめています。レ・ダン・ゾアイン経済学博士は本紙に対し、「WTO加盟は競争力の強化を求め、行政改革を求め、各国際基準の達成を求める。税関がどう対応するか、企業が新法体系にどう対応するか、ベトナムはこうした課題の遂行を求められる」と語りました。
WTO加盟に関する対米個別交渉が五月十三日に完了しましたが、各界からは「WTO加盟で最も影響を受ける企業に対し、米国との合意細目について説明がない」などの不満の声があがりました。
WTO加盟で企業倒産による失業者や農業からの転出人口が増大することにともなう失業保険制度の確立、農民への転業保障なども求められます。ゾアイン氏は「諸経費がかかるのは避けられない。企業も個人も損害が出ることになる」と指摘する一方、「ベトナムは競争を通じて発展する」と語りました。
閣僚級除外に厳しい批判も
党大会前に党と国家の幹部の汚職に対する国民の怒り、不満がかつてなく高まりました。七月末に開催した党第三回中央委員会総会は汚職防止の取り組みを当面の重点課題と決定しました。
国会が昨年六月に採択した「汚職防止法」が今年六月から発効しました。国会常務委員会は二十八日、同法に基づき首相を責任者とする「汚職防止指導委員会」の権限と役割を決定しました。汚職関与の疑いがある次官級以下の幹部の活動停止を首相が決定できるとしています。
閣僚級を除いたこの決定に対し「汚職に関与した者を職務で区別すべきではない」(政府監察局のブー・ファム・クエット・タン副長官)、「いかなる者に対しても聖域を設けるべきではない」(ベトナム祖国戦線のファム・テー・ズエット議長)など厳しい批判の声があがっています。
外交ではベトナムは「全方位外交」をすすめています。ノン・ドク・マイン党書記長が再選後の初の外国訪問として六月下旬に中国を訪問。グエン・タン・ズン首相が近く日本を訪問します。十一月のハノイで開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて米国のブッシュ大統領のベトナム公式訪問を招請しています。
2012年に関税障壁撤廃
ベトナム財務省
【ハノイ=鈴木勝比古】ベトナム財務省は二十七日、ベトナムが東南アジア諸国連合(ASEAN)の関税障壁撤廃を二〇一二年に達成することを確認しました。同時に53%の品目の関税撤廃をASEAN各国に伝えました。輸入品の占める割合を定めるクオータ制など、非関税障壁の撤廃も順次、施行します。

