2006年8月30日(水)「しんぶん赤旗」
「迎撃ミサイル」初配備
横須賀に米イージス艦
「ミサイル防衛」(MD)用の新型迎撃ミサイルSM3を搭載した新鋭のイージスミサイル巡洋艦シャイローが二十九日、米海軍横須賀基地(神奈川県)に配備されました。SM3を搭載した米艦船の実戦配備は今回が初めてです。
SM3を搭載した米艦船は現在三隻ですが、シャイローを除く二隻(レイク・エリーとポート・ロイアルのイージスミサイル巡洋艦)はいずれも、実験が主任務になっています。
基地内での式典にはウインター海軍長官が出席し、「シャイローは海軍の中で一番優れたミサイル防衛能力を持っている」と指摘。横須賀基地への配備を「日米の強いきずなの大きな証拠だ」と強調しました。同基地への艦船配備で行う式典に海軍長官が出席するのは異例のことです。
ドノバン在日米大使館首席公使は「日米同盟のトランスフォーメーション(変革)の大きな要素がミサイル防衛。その象徴的なものがシャイローだ」と述べ、今回の配備が在日米軍再編の一環であることを指摘しました。
「ミサイル防衛」は、「敵」国の弾道ミサイル攻撃を無力化することで、報復の心配なく、先制攻撃を可能にするシステムです。在日米軍再編の日米合意に基づき、米軍の新型Xバンドレーダーが自衛隊車力基地(青森県)へ六月に配備されたのをはじめ、地上発射型の新型迎撃ミサイルPAC3の配備が米軍嘉手納基地(沖縄県)に今月から九月にかけて始まる予定です。
米軍がSM3搭載艦の最初の実戦配備先を横須賀基地にしたことは、同基地を「ミサイル防衛」の一大拠点にすることを狙ったものです。
式典では外務省の河相周夫北米局長も「これは始まりだ。追加的機材の導入を加速化する必要がある。米国との協力を進めていく最大の努力を行う決意だ」と述べ、自衛隊の「ミサイル防衛」能力の強化も進めていく考えを示しました。
シャイローは、百二十二発を発射できるミサイルの垂直発射装置を装備しています。しかし米側は、SM3の搭載数については明らかにしていません。
SM3ミサイル 「スタンダード・ミサイル3」の略。米軍が開発・配備を進めている「ミサイル防衛」用の迎撃ミサイルの一つ。イージス艦から発射されます。打ち上げられた弾道ミサイルが弾頭を切り離してから、着弾地近くに突入するまでの中間段階で迎撃することを狙うミサイルです。