2006年8月28日(月)「しんぶん赤旗」

収支非公開の「中間法人」

竹中大臣の政治活動応援

資金どこから


 規制緩和など「構造改革」路線の旗振り役となってきた竹中平蔵総務相の「理想を実現」すると自称する組織が、同氏の政治活動を支援しているにもかかわらず、資金源や支出先を公開しない不透明な活動を行っていることが問題になっています。政治資金規正法の網を逃れた組織の実態とは―。(「改革」利権取材班)


講演会を主催

 この組織は「シンクタンク」の看板を掲げる中間法人「トリガーラボ」(東京都港区)。ホームページ上でみずからの組織を「竹中大臣の理想を実現するための組織、通称“竹中平蔵経済研究所”です」とうたっています。竹中氏の講演会を主催するなどしています。

 法人登記によると、トリガーラボは二〇〇四年十月に五千万円の基金で設立されました。〇五年四月には基金を九千万円にまで増額。竹中氏を支援する活動は、この基金が元手になっているとみられます。

 しかし、トリガーラボは中間法人の形態をとっているため、収支の公開は義務付けられていません。政治家である竹中氏を支援する活動をしたとしても、その資金がどこから拠出されているか、どこにいくらカネを支出したかなどは、明らかにされません。

 中間法人と政治家の関係では、自民党が中間法人のシンクタンクを設立し、企業経営者らを対象に高額セミナーを開催して資金集めをしようとしていることも明らかになっています(本紙八月十一日付既報)。

「改革」を礼賛

 六月、トリガーラボの活動が目に見える舞台がありました。同法人が、株式会社大学「LEC東京リーガルマインド大学」と東京都内の同大学で共催した「竹中塾公開講座」。数百人の若者を前に、竹中総務相本人が講演しました。「不良債権を二年半で半減させるといったら袋だたきにされた」「規制がたくさんある。改革の手をゆるめてはいけない」

 参加した男性は「“講座”は自画自賛というか、構造改革の礼賛でした。相変わらずの規制緩和万能論をぶっていた。学生に構造改革がいいことだと宣伝する意図があるのではないか」と感想を話します。

 トリガーラボ自身、ホームページで「なぜ構造改革が順調に進展しないのか」を問題意識に、「竹中国務大臣が民間人だったらやりたかったことである、志ある若者の育成」のために設立したとしています。

 「竹中塾」公開講座への参加は無料。計五回開かれ、第四回までに千六百人以上が参加しているといいます。

 竹中総務相は同法人との関係を国会でただされ、「政治活動はしていないと聞いている」「たしか一回一万円ぐらいの講演料をいただいたと思う」などとのべています(三月の参院予算委員会)。

 所得報告によると、竹中総務相は〇五年、講演料、出演料、印税による「雑所得」が計約千九百五十万円ありました。

 トリガーラボは、構成メンバーにも竹中氏と密接な関係を持つ人が入っています。顧問に経済財政諮問会議の議員である本間正明氏(大学教授)が就き、ほかにも野村修也金融庁顧問(同)ら政府の審議会メンバーや政府関係者が多数参加。木村剛・日本振興銀行会長の名前もあります。理事を務めるのは、竹中氏が教べんをとっていた慶応大学の跡田直澄教授です。

 トリガーラボをめぐっては、民主党国会議員が六月十六日、「政治活動を行いながら、政治資金規正法に定める収支報告などの報告を行わなかった」政治資金規正法違反があるとして、同法人理事を東京地検に刑事告発しています。

 これに対し、トリガーラボはホームページ上で「当組織は、…政治活動とは全く無関係で、告発は事実無根」と反論。本紙の取材に対して、トリガーラボからは回答がありませんでした。


 中間法人 二〇〇二年四月に導入された新しい法人制度。町内会やサークルなど、「非公益かつ非営利目的」の団体にも法人格の取得が可能になりました。基金の総額や役員などは登記しますが、財務内容や事業報告書などは公開義務がありません。


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