2006年8月28日(月)「しんぶん赤旗」

主張

沖縄新基地協議

痛みの押しつけに道理はない


 政府は沖縄新基地建設にむけた動きをつよめています。額賀防衛庁長官は沖縄県などに、新基地建設計画を話し合う政府と沖縄県の協議機関の設置を認めさせました。月内にも立ち上げる予定です。

 政府は、自らは拒否している沖縄県の「暫定へリポート」案を「議論はやぶさかでない」とか、振興策も「議論する」などといって沖縄県の「顔をたてる」形をとりながら、基地建設の早期着手をねらっています。しかし、名護市民はもちろん、沖縄県民の圧倒的多数は新基地に反対です。民意を無視し建設につきすすむことは許されません。

県民大多数が反対

 日米両政府の新基地建設計画は、米軍キャンプ・シュワブ(名護市)内の沿岸部と海部分に、千八百メートルの着陸用と離陸用の二本の滑走路と、格納庫や整備施設など四十もの施設、さらには軍港まで完備する恒久基地をつくるというものです。

 政府は「住宅の上を飛ばない」などといって、計画の押しつけをはかっていますが、これはごまかしです。米軍ヘリが住宅地を飛ばず、海だけ飛ぶというのはありえません。

 普天間基地(宜野湾市)から飛ぶヘリの飛行ルートを熟知している伊波洋一宜野湾市長が「ありえない」と批判しています。普天間基地では飛行ルートは四方八方に設定されています。地上戦闘のための訓練であり飛ばないところはありません。

 危険な事実を隠し通して新基地を建設しようなどもってのほかです。

 政府は、最新鋭の輸送機オスプレイが新基地に配備されることについても、「知らない」といってきました。しかし、在沖縄海兵隊基地司令官は、衆院沖縄・北方特別委員会のメンバー(日本共産党は赤嶺政賢議員)との懇談で、新基地の千八百メートルの滑走路は「C130輸送機やオスプレイが使える長さ」とのべました。配備計画を認めた発言です。

 オスプレイは、ヘリのように垂直離発着し、固定翼機のように飛行する新鋭機です。航続距離を飛躍的にのばし、アジアの戦場にも直接参戦できます。同時に、事故が絶えない危険な輸送機です。計画があるのに「素知らぬ顔」をきめこんできた政府の責任は重大です。

 新基地が爆音被害と墜落の危険を増大させる新たな元凶になるのは明白です。住民が新基地建設を拒否するのは当然のことです。

 沖縄県民は、SACO(沖縄にかんする特別行動委員会)が普天間基地の県内移設を決めて以来、宜野湾市民(八万人)に与える痛みと恐怖を、県内にたらい回しすることに強く反対してきました。辺野古沖への建設計画にも粘り強く反対し、断念においこみました。

 今回の新基地建設計画にも名護市民の大多数は反対です。沖縄県民も七割が反対しています。

 協議機関がめざすことは新基地建設です。それは県民の意思に逆らうものです。政府は民意にそって新基地の押しつけをやめるべきです。

米本国への基地撤去

 沖縄県は、キャンプ・シュワブ内に普天間基地の機能を移す「暫定ヘリポート」案を、額賀防衛庁長官が議論してもいいといったことから、協議への参加をきめました。この案には県内から新基地建設容認につながるというきびしい批判が相次いでいます。普天間基地の即時閉鎖と早期返還を求める宜野湾市民と県民の願いにも反します。普天間基地の危険を除去する確かな保証は、普天間基地の国外撤去しかありません。


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