2006年8月27日(日)「しんぶん赤旗」

主張

障害者自立支援法

抜本的な見直しが欠かせない


 四月施行の障害者自立支援法が、障害者と家族を直撃しています。福祉サービスに原則一割の応益負担が導入されたためです。負担増のため、サービスの利用を中止する障害者が続出しています。

 通所施設の場合、無料だった利用料負担が月二万―三万円(給食費含む)もの大幅負担です。工賃収入をはるかに上回る利用料負担の支払いに、働く意欲をなくし施設利用を断念し、家に閉じこもる障害者が相次いでいます。施設への報酬も激減し、経営の存続が危ぶまれる事態に直面しています。

応益負担の撤回を

 あらためて、“自立支援ではなく自立阻害だ”“看板に偽りあり”と、批判の声があがっています。

 障害者と家族、施設関係者からの、負担増の軽減を求める強い要求を受けて、自治体が独自の施策を講じています。

 利用者負担軽減や事業所補助のために独自の施策を行う自治体は、きょうされん(障害者関連施設でつくる全国組織)の今年春の調査でも、八都府県と二百四十二市区町村(全市区町村の13%)にのぼり、その後も増加しています。この流れを全国に広げていくことが大切です。

 障害者と家族、事業者を苦しめているのは応益負担の導入です。障害が重く、多くの支援を必要とする人ほど重い利用料負担を強いる原則定率一割の応益負担は、社会福祉の理念に真っ向から反します。

 日本共産党は、今年二月と六月、二度にわたって「緊急要求」を発表し、八月には国会議員団として、政府に応益負担の撤回と障害者自立支援法の抜本的見直し、利用者負担の軽減、事業者報酬の改善を重ねて申し入れました。

 小泉首相は、制度施行前の二月二十八日、「実施した上で問題があると分かればしかるべき対応をとる」と答弁しました(衆院予算委員会)。さらに、実施後の六月七日には、日本共産党・井上哲士参院議員の実態調査をもとにした質問に、首相は、「国としても調査をする必要がある」と答えています(参院決算委員会)。

 こうしたなかで、厚生労働省が六月下旬に実施した自治体アンケート調査では、半数を超す都道府県が利用者負担増による退所者、利用抑制の事態が生まれていると報告しています。

 都道府県や政令都市、中核市を対象にした限られたアンケート調査からも、深刻な実態が裏付けられました。制度の見直しは急務です。

 十月からは新たに補装具、障害児施設にも応益負担は導入されます。障害程度区分の認定とそれにもとづく支給決定、地域生活支援事業も始まり、国の補助金抑制のもとでサービスの後退や市町村格差のいっそうの拡大も懸念されています。

 政府自身が、改めて、障害者自立支援法による影響を直接に把握するための全国調査を行うことを求めます。

引き続き力をあわせて

 障害者自立支援法は、小泉「構造改革」の社会保障費削減策にそってつくられたもので、昨年十月、自民党、公明党が数の力で押し切って成立させました。

 障害者・家族は空前の反対運動を繰り広げてきました。法律が施行されたいま、新たな怒りがわきおこり、応益負担の撤回、制度見直しを求める運動が各地で広がっています。

 国民が力をあわせて、国と自治体に緊急の負担軽減と制度の抜本的見直しを迫っていきましょう。


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