2006年8月24日(木)「しんぶん赤旗」

組合員に役立ってこそ

JA農協大会の議案めぐって(下)

役職員まかせにせずに


 一般組合員を農協の利用者でよいとする姿勢は、組織協議案の位置づけにもあらわれています。

 全中は、大会議案について「JAグループの役職員が共有する」作戦書だとしています。JAグループの主体である組合員の意思を結集することが望ましいとしながら、「組合員にとって、自分の属するJAの具体的な事業・活動のあり方が最も重要」だから、全組合員からの意見集約の必要はないとしています。

 しかし、最近の大会決議は、JA改革の断行を掲げ、広域大合併を推進するとともに、信用事業でも、経済事業でも、また減反を含め米事業でも、単位JAまで細かく指示してきました。JAバンクの自主基準の名で信用事業の継続・廃止、未合併農協の解消とリストラの促進など、中央集権的な方針、運営を強めています。

総合活動と協同

 財界などは、総合性が自由競争を阻害していると非難します。しかし、組合員の多様な要求を取り上げるのは、協同組合として当然です。

 組織協議案は、「JAグループは、さまざまな事業・活動を通じて組合員をはじめとする利用者・地域住民の営農上・生活上の諸課題を解決・支援し」地域の活性化などに貢献してきたと、財界などの事業分割の要求を拒否しています。

 農協の総合事業のメリットは、「各事業間の相乗効果と相補効果、さらに管理コストを大幅に削減できる」(前出・農林中金総研レポート)ことにあります。

 一方で組織協議案は、総合性の維持を掲げながら、「競争力ある事業の展開と質の高い魅力ある商品・サービスの提供」による組織・事業基盤の強化・充実と事業ごとの採算性を強調します。

 各事業が赤字でよいわけではありませんが、単協の事業は、営農指導や青年部、女性部など、直接利益のでる事業だけではありません。また、販売事業は、政府の輸入自由化、価格政策の放棄によって農産物価格の低落、豊凶や市況の変動も激しくなっています。

 したがって、単年度の実績だけで各事業の成否を決めるのは現実的でありません。すべての事業が常に黒字にならないこともあり、全体の利益からまわす場合があってもよいわけです。

 信用事業では、JAバンクということで、国債や外債をあつかう市中銀行などの基準を一律にあてはめた自己資本比率や減損会計などの導入は、組合員・地域金融を基本とする立場で見直すなど、各単協がその条件にあわせておこなう判断を尊重すべきです。

 組織協議案は、単位JAのあり方、組合員の経営と生活、職員の労働条件にも直接影響します。それと組合員の主な関心は単位JAにあるとして、役職員だけの議論ですますことは、協同組合の基本にかかわります。

民主的な発展へ

 全国の農協組合員が、単位JAだけでなく、JA全体の動向に注目し、自分たちの組織として対応することが求められます。役職員まかせにせず、組合員段階で議論する機会を積極的につくる必要があります。

 組合員である党員や農民連会員、農協労働組合員などが単位JAにも提起し、積極的な役割を果たすことが求められます。それが今日の情勢のもとで、農協の民主的発展にむけた取り組みをすすめるうえからも重要になっています。(おわり)(日本共産党農・漁民局長 有坂哲夫)


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