2006年8月24日(木)「しんぶん赤旗」

05年度日米共同演習激増

「長い戦争」に自衛隊動員


 一面所報のように、二〇〇五年度の日米共同訓練・演習の日数が激増している背景には、日米両政府が進める在日米軍再編があります。(田中一郎)


「米軍再編」を先取り

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(写真)敵の殺し方を自衛隊員に教える米兵(左の指さししている兵士と正面の銃を構えている兵士)=2月23日、滋賀県・饗庭野(あいばの)演習場

 ブッシュ米政権は「テロとのたたかい」を口実にした「長い戦争」(ザ・ロング・ウオー)をたたかい抜くため、同盟国を動員する戦略をとっています。

 在日米軍再編に関する昨年十月の日米共同文書(いわゆる「中間報告」)は、地球規模での米軍と自衛隊との軍事協力を「同盟の重要な要素」と位置付け、両軍の一体化を「部隊戦術レベルから戦略的な協議まで」の「あらゆるレベル」で進める方針を盛り込みました。海外での米軍の「長い戦争」に自衛隊を組み込み、ともに軍事作戦を展開する―。ここに在日米軍再編の狙いの一つがあります。

 そのために、米軍と自衛隊の司令部機能の統合や基地の共同使用の拡大などのほか、日本国内はもちろんグアムやアラスカ、米本土での共同訓練を増やしていくことを打ち出しています。

 沖縄配備の航空自衛隊と米空軍の部隊による共同訓練の激増、空自によるグアムでの実弾爆撃訓練、陸上自衛隊の米本土での共同訓練の増加…。まさに、在日米軍再編で打ち出された方針が軍事の現場で先取り的に進んでいることを示しています。

統合運用も米と共同

 〇五年度に実施されたそのほかの訓練・演習でも、この方針は貫かれています。

 例えば陸自は、国内での共同実動訓練のどれでも、米軍がイラクで「掃討作戦」と称して展開しているような市街地戦闘の訓練をしています。米側の参加部隊は“イラク帰り”“アフガン帰り”の部隊でした。

 陸・海・空の三自衛隊の調整にあたる統合幕僚会議は、在日米軍司令部と共同統合指揮所演習(二月―三月)を実施しました。同演習は、三自衛隊の運用を三月末に新設した「統合幕僚監部」へ一元化するのに備えた「態勢移行準備訓練」という位置付けでした。

 三自衛隊の統合運用に向けた準備を共同演習の形で行うのも、在日米軍再編の中で、日米共同統合作戦センター=米軍と自衛隊の“統合司令部”設置が計画されているからです。

イラク型戦闘を想定

 在日米軍再編では、さらに共同訓練・演習の強化が計画されています。

 在日米軍再編の「最終報告」(五月)に盛り込まれた、全国五カ所の空自基地での米軍と空自の戦闘機などによる共同訓練の計画も、その一つです。早ければ今年度中にも強行されようとしています。

 また「最終報告」に基づき陸自は、今年度中にも沖縄の米海兵隊基地キャンプ・ハンセンで訓練を実施しようとしています。

 キャンプ・ハンセンには、「コンバット・タウン」と呼ばれる市街地戦闘訓練施設があります。米海兵隊は昨年十一月、「コンバット・タウン」でイラクの都市ファルージャに見立てた諜報訓練を実施していたことが分かっています。

 自衛隊がハンセンを共同使用し、日常的に市街戦訓練を行うようになれば、イラク型戦争をたたかう能力がいっそう強化されていく危険があります。

表

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