2006年8月24日(木)「しんぶん赤旗」

自民総裁候補と小泉政治

“痛み”押し付けを推進

「構造改革」


 「再チャレンジ」(安倍晋三官房長官)、「豊かさ実感倍増」(麻生太郎外相)、「きずな」(谷垣禎一財務相)……。自民党総裁選では、小泉「改革」が国民に押し付けた“痛み”や「格差」が一つのポイントとなっています。しかし、三氏とも、その「改革」を強力に推進してきたことでは同罪です。

「改革」の看板

 安倍官房長官は、党幹事長、幹事長代理として、小泉純一郎首相と二人三脚で「改革」の“看板役者”を担ってきました。総選挙や参院選などで、「改革がすさまじいスピードで進んでいる。改革は進み、実績をつくっている」(〇三年九月二十九日)、「銀行の不良債権は減った。経済成長率も名目でプラスになった」(〇五年八月三十一日)などとあおりつづけた中心政治家です。

 しかし、庶民の“痛み”にはいたって無頓着です。「格差」が拡大した原因として、内閣府の二〇〇六年度「経済財政白書」でさえ挙げている企業のリストラや非正規雇用の増大をもたらした政治への反省はありません。それどころか、幹事長として「失業率が低下しはじめたのは、改革の成果によって新しい雇用が生まれたととらえている」(〇四年一月三十日)などと言ってはばかりません。小泉政治のもとで、正規雇用労働者が三百万人減、非正規雇用労働者は三百万人増という雇用破壊の“痛み”への共感がないのです。

 安倍氏は、国民の七割が反対した給付切り下げ、保険料引き上げの年金改悪では、幹事長として公明、民主との間で「三党合意」(〇四年五月)を結び、改悪法の強行に道筋をつけました。小泉内閣の目玉となった郵政民営化法では、「あと一歩のところまできている」(〇五年三月二十六日)などと推進。定率減税の廃止など「サラリーマン増税」では、総選挙中は「まったくそんなことを考えていない」(〇五年八月十四日)といいながら、選挙後に強行する国民だましの先頭に立ったのも安倍氏でした。

 官房長官就任後は、さらなる“痛み”押し付けのシナリオづくりに中心的な役割を果たします。まず、自らの私的諮問機関である「社会保障の在り方に関する懇談会」では、消費税率引き上げを含む最終報告をとりまとめました。さらに、小泉「改革」の司令塔となった経済財政諮問会議の議員として、社会保障費の削減・改悪と歳入面での消費税増税を柱とする「骨太の方針二〇〇六」の策定にまでこぎつけたのです。

 経済財政諮問会議の議員としては、麻生太郎外相も、〇三年九月から〇五年十月までの総務相時代、地方切り捨ての「三位一体」改革を推進。これは、安倍官房長官のもとで、補助金の大幅削減として“結実”します。

 谷垣禎一財務相も、リストラをすればするほど企業が減税を受けられる産業再生法の改悪・延長(〇三年)の際に「特典が得られることを考えていただく」(〇三年三月十二日)と使い勝手の良さを財界に売り込んだほどでした。高齢者を襲っている所得税、住民税の定率減税の縮小・廃止と、それに連動した雪だるま式負担増については、日本共産党の追及に、「きわめてへんぱな見方」(〇五年三月四日、参院予算委員会)と敵意をむき出しにして推進しました。

「格差」当然視

 安倍、麻生、谷垣三氏に共通なのは、「格差がない社会はありえない」(安倍氏、五月三十一日、衆院教育基本法特別委員会)、「努力して差がつかなきゃ、努力する人の数は減り、社会から活力が失われます」(麻生氏、ホームページ)、「競争のなかである程度の格差が出てくるのは自然なことだ」(谷垣氏、二月二十四日、衆院財務金融委員会)と、「格差」と貧困の広がりを当然視していることです。

 安倍氏は、昨年暮れに早くも自民党総裁選の争点について、「論点は、小泉改革に対する評価だ。どの候補者も改革を進めていく方向では一致している」(〇五年十二月二十八日)とのべています。安倍氏の言うとおり、小泉「改革」を推進してきた三人衆では、経済政策の抜本的切りかえは不可能です。(随時掲載)


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