2006年8月23日(水)「しんぶん赤旗」

「金融商品取引法改正」に反対したのはなぜ?


 〈問い〉 先物取引や変額保険などで金融商品被害を防ぐための金融商品取引法改正に日本共産党は反対したと知りました。なぜですか? こうした金融被害を防ぐためにいま必要なことはなんだと考えますか?(大阪・一読者)

 〈答え〉 政府・与党はこの十年ほどの間、金融・証券分野の「規制緩和」を急速に進めました。銀行による投資信託や保険の販売が解禁されるなど、金融商品をめぐる「営業の自由」が拡大し、ビジネスチャンスが広がりました。一方、消費者保護は置き去りにされたため、大手銀行を含む金融機関や悪質な業者に大切な財産を食い物にされる金融被害が広がっています。

 こういう事態を背景に、政府は先の通常国会に「投資家保護」を掲げた「証券取引法等改正法案(金融商品取引法案と関連法案)」を提出しました。法案は、消費者団体や日弁連などの長年にわたる要望を反映する面もありましたが、消費者保護の立場からは重大な欠陥があるとして、日本共産党は反対しました。

 その理由の一つは、不招請勧誘の禁止など金融商品の販売・勧誘ルールが不十分だったことです。

 「不招請勧誘」とは、顧客が求めていないのに業者が勧誘をすることです。欧米では不招請勧誘禁止の原則が定着しつつあり、イギリスではすべての金融商品を不招請勧誘禁止の対象とし、安全なものだけ解禁するしくみです。

 しかし、改正法ではごく一部の金融商品を対象としただけでした。特に毎年多くの深刻な被害が出ている商品先物取引を対象からはずしたことに対しては、与党議員の中からも批判がありました。

 もう一つは、改正法の対象が「元本割れリスクのある金融商品」に限定され、保険や預金、融資等を対象からはずした点です(ただし変額保険や外貨預金などは対象)。保険については、最近問題になった「保険金不払い」だけでなく被害や苦情が急増しており、保険全部を規制の対象とすべきです。

 また、その他にも金融被害の救済制度、業者の損害賠償責任を明確化するルールに関して、今回の改正案はきわめて不十分でした。イギリスの裁判外紛争処理制度なども参考に緊急に制度整備をすすめる必要があります。

 金融被害を根絶するためには、以上のような問題点を改め、消費者保護ルールを抜本的に強化することが必要です。政府もひき続き検討を行うことを約束しており、万全の消費者保護法制の確立を求めていくことが必要です。(井)

 〔2006・8・23(水)〕


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