2006年8月23日(水)「しんぶん赤旗」

庶民大増税 なぜなぜ問答

消費税編 8

Q 業者は赤字でも身銭きって納めるの?


 「払えば食えず、食えば払えず」―今年三月、中小業者が所得税、消費税を計算するなかで、全国各地からこのような声がわき起こりました。

“損税”に

 業者は、営業の実態(所得)は赤字でも消費税を納めなければならないからです。消費税法によって業者は、商品の販売やサービスを提供した場合、売り上げに応じて消費税が課税される仕組みになっています。そのため業者は、赤字であろうが、また、消費税を消費者や取引先に転嫁できなくとも、消費税を納める義務があるのです。

 これが所得税、法人税などと消費税の決定的な違いです。そのため、消費税法は、業者に煩雑な会計帳簿類の完備を義務づけています。

 ところが、帳簿が不備だと税務署が判断すると、売り上げの消費税から仕入れにかかった消費税を差し引くことが認められず、売り上げにまるまる5%が課税されます。これが仕入れ税額控除否認です。業者に過酷な消費税が課せられ、各地で係争となっている例も少なくありません。

 同時に、小売業では大手スーパーなどとの価格競争、下請けの製造業や建設業などでは大企業や元請け企業の単価たたきによって、消費税を価格に上乗せできない業者も少なくありません。この場合には、転嫁できなかった消費税5%分は利益から持ち出しとなり、“損税”になってしまいます。

バイトで

 このように、売り上げに消費税を転嫁できていない業者は、一部しか転嫁できていない業者も合わせると民商・全商連の調査では約六割、経済産業省の調査でも約半数にのぼります。このように中小業者にとって消費税は、過酷な税金であり、まさに“営業破壊税”です。

 では、赤字の中小業者は、消費税をどのようにして納税しているのでしょうか。生活費を切り縮めたり、アルバイトや借金して納税する業者や、滞納せざるを得ない業者も生まれています。

 「消費税が一度に払えない」という声が広がりました。業者の運動と日本共産党の佐々木憲昭衆院議員が国会で取り上げたこともあり、納税猶予や分割納付を実現している地域や業者が生まれています。(つづく)

イラスト

イラスト 高村忠範


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