2006年8月23日(水)「しんぶん赤旗」
自治労連大会
活発に討論
住民と自治体リストラはね返す
茨城県つくば市で開かれている自治労連定期大会は二十一、二十二の両日、討論をおこない、住民と共同して公共サービスをまもるたたかいをはじめ、各地のとりくみを活発に交流しました。
プール事故―
改善求めたたかう
「『官から民へ』のもとでコストが優先され人命を最優先すべき公共理念が後退していた」
民間委託で起きたプール事故について発言したのは、埼玉県ふじみ野市職労の代議員。民間委託がもたらす害悪が浮き彫りになったとのべ、「市民とともに行財政を点検し、改善させる運動にとりくんでいく」とのべました。
異常な生活保護締め付けによる餓死・孤独死が相次ぎ、大きな社会問題になっている北九州市。市職労の代議員は、厚生労働省天下りによる保護削減の指導が背景にあり、ケースワーカーの声を集めて実態を浮き彫りにする活動を紹介し、「来年の市長選挙でも大きな争点にしていきたい」と強調しました。
サービス切り捨て―
市民と見直し迫る
自治体リストラを住民と共同しはね返しているたたかいが注目を集めました。
岡山市職労の代議員は事業を市がやるのかどうか、の「事業仕分け」の名による公共サービス切り捨てにたいして、仕分けの評価者を市民から選ばせることで市長の思惑を打ち破ったとのべました。
三年間職員採用ゼロ計画にも、公民館や学校図書館の利用者から職員配置を求める声があがり、採用が実現しました。「住民と結び付き、共同を広げれば打ち破ることはできる」
広島市では、八十九の公立保育園を民間に移管する計画に市職労が父母らと存続運動を展開。八十二園の保護者会が存続要望書を出すなど世論が広がり、市は移管計画をつくれない状況に追い込まれています。
名古屋市では、市民がサービス削減や負担増に苦しみ、職員の働きがいも失われる状況に黙っていられないと、名古屋市職労が市民とともに運動に立ちあがっています。
このなかで、市立病院の縮小再編計画にたいして民生委員大会が充実を求める決議を採択し、公立保育園を守るネットワークが結成されるなど運動が広がっています。
自治体病院の統廃合―
地域医療守る運動
住民と共同した地域医療をまもる運動も各地で広がっています。
千葉の代議員は、医師不足で夜間診療ができないなど地域医療の危機とそれに拍車をかける統廃合・民間委託計画の見直しを求める運動を住民と共同してすすめているとのべました。
青森では、地域医療を守るため医師不足の解消が不可欠であり、県当局は責任を果たせと住民団体をつくって運動しています。代議員は、四十自治体のうち三十四自治体で陳情などが採択され、世論を動かしていると発言しました。
憲法を生かす―
首長と共同広がる
小泉内閣による地方切り捨てに反対し、憲法を守る立場で自治体首長との共同がすすんでいると報告したのは高知の代議員です。全四十六自治体のうち四十二自治体で懇談。憲法では九条にとどまらず地方自治を否定する自民党の改憲案に危ぐする声が相次ぎ、これまでに「憲法への想い」メッセージが十人の首長から寄せられています。
秋田でも、自治体首長九人が「九条は堅持すべき」「九条は世界のテーゼで日本人の誇り」と県自治労連との懇談で語りました。代議員は「勇気づけられ確信になった。共同の条件と可能性が広がっている」と自治体から過半数世論を結集していく決意を語りました。
東京の代議員は、教育基本法改悪の先取りとして石原都政がすすめる学校経営支援センターによる学校運営への介入とのたたかいを紹介。教材購入まで同センターが扱うようにした結果、納入が二カ月遅れになり、弊害が噴出し、見直しを余儀なくされています。
非正規の駆け込み寺―
雇用・労働条件守る
増大する非正規職員の駆け込み寺となって雇用と労働条件を守っている姿が紹介されました。
和歌山の代議員は、橋本市や有田川町で合併に伴う解雇や賃金引き下げとたたかい、「組合がなければ泣き寝入りしていた」と喜ばれていると報告。群馬県では、嘱託臨時保育士の雇い止めを撤回させ、均等待遇を実現させたとのべました。
こうした実績が信頼されて、栃木や茨城では大学職員や民間介護サービス労働者が自治労連に加入し、幅広い労働者のよりどころになる役割を果たしていることがこもごも語られました。
大阪の代議員は、七月に投開票された東大阪市長選で民主市政を再び打ち立てたことを紹介し、拍手に包まれました。「住民税値上げで市役所に市民が押しかけるなど構造改革への怒りが示された。どこでも変化が起きることを確信した」とのべました。
滋賀の代議員も、知事選で自公民の現職知事が敗れ、新幹線新駅凍結を掲げた候補者が当選した知事選を報告。新駅問題が大争点になったのは自治労連などの長年の運動があったからだとして、「県民の世論と運動を県政転換につなげていきたい」と語りました。