2006年8月22日(火)「しんぶん赤旗」

被団協など申し入れ

国は大阪・広島地裁判決に従い

原爆症認定基準を改めよ


 原爆症と認定するかどうかを審査する厚生労働省の「疾病・障害認定審査会原子爆弾被爆者医療分科会」が二十一日、裁判をおこした四十一人の被爆者全員を原爆症と認めた広島地裁判決(八月四日)後、初めて同省庁舎で開かれました。

 分科会開催に先立ち、日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)、原爆症認定を求める集団訴訟の弁護団は、一連の判決を真摯(しんし)に検討し、原爆症の認定基準を根本的に改めるよう検討することや、分科会での判決についての意見交換は公開すること―などを求める申し入れ書を、分科会の委員に提出しました。また、分科会の佐々木康人会長に対し、公開を求める申し入れ書を出しました。

 広島地裁判決は、分科会で現在おこなわれている「審査の方針」について、「参考資料」にすぎないと指摘。これに先立つ大阪地裁判決(五月十二日)も、「審査の方針」を機械的に適用することを批判しています。

 申し入れ書の提出後、分科会の事務を担当する厚労省の課長補佐は「プライバシーの問題があるので、会長が公開しない方がいいといっている」などと回答。被爆者や弁護士は「判決についての意見交換はプライバシーと関係ない」と反論しました。

 さらに申し入れと同趣旨の請願書も出して、「請願の取り扱いをどうするか回答してほしい」と求めました。

 厚労省側は回答せず、被爆者らを廊下に四時間近く待たせました。たまりかねた被爆者に対し、ようやく佐々木会長が海外出張のために欠席であることを明らかにしました。草間朋子会長代理の言葉だとして、「審査の方針」を改めないことは、すでに大阪地裁判決後の分科会で確認されている―とのメモを読み上げました。

 申し入れ後、記者会見した弁護団の高見澤昭治弁護士は、国が控訴したため高裁で争われる大阪、広島の両裁判で、分科会の委員の証人尋問もおこない、「審査」のやり方や「審査の方針」をどう決めたのかも明らかにしていく必要があると強調しました。


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