2006年8月20日(日)「しんぶん赤旗」
民主、“業界に党支部つくれ”
自民基盤切り崩し指示
虎の巻も用意 違いは見えず
民主党は衆参国会議員や地方県連に従来自民党の支持基盤になってきた各種業界団体へ足を運び民主党への理解を求めるよう指示しています。来年の参院選へ向け自民・保守層の切り崩しに狙いがあります。
民主党は今月七日に「団体対策の強化と『職域支部』の設立について」を都道府県連に通知しました。そこで「従来は与党一辺倒と思いがちであった職域団体にも積極的に足を運び意見交換を行い、相互理解を深めることが重要」として、各種の業界団体への訪問活動や懇談会を開催するなど連携強化をはかるよう指示。職域団体に民主党支部をつくるよう勧めています。
民主党が各種業界団体へ力を向けるのは小沢一郎氏の代表就任後のことです。自民党幹事長、同総務局長として自民党の選挙を取り仕切った経験から、小沢代表は「固まっている票田」としての業界団体への対策を重視。四月の衆院千葉7区補選でも小沢氏は企業・団体回りを重視する選挙を展開しました。六月には自民党の有力基盤の一つだった茨城県歯科医師会に民主党支部を立ち上げました。近年、業界団体の結束は弱まってきているというものの、雲をつかむような無党派層を考えれば、なお選挙における効果は捨てがたいものがあるという認識です。
自民党基盤に切り込む同党国会議員の対話活動をバックアップするために民主党が“虎の巻”として今月十日に用意したのが『自民党・小泉路線に関する主要資料集』。家計・経済、社会保障、子育て支援、制度改革、外交安保関係の五項目にわたって自民党の主張に対する反論材料を盛り込みました。
しかし資料集では憲法、教育基本法の改悪問題や消費税の増税問題、格差社会を招いた規制緩和政策など自民党と共通認識に立つ基本問題は触れられていません。
自民、民主両党の政策の近似性については「きわめて政策が似てきているし、似てきたなかでどちらに(票を)入れるかというと、もはや好感度しか残っていないのかも」(御厨貴東大教授)との指摘もあります。
民主党は自民党との対立軸を打ち出せるか。「あえて探せば党首の顔の違いかなあ」。民主党参院議員の苦しいことばです。

