2006年8月17日(木)「しんぶん赤旗」
日米安保戦略会議
米側から注文次つぎ
インド洋監視・軍事機密保護…
日米の軍事産業界が後援する日米安全保障戦略会議が九日から十一日まで三日間、東京都千代田区のホテルで開かれ、米側から「海上自衛隊P3Cによるインド洋の海洋監視活動を」「ミサイル防衛共同開発を円滑に進めるため機密漏洩(ろうえい)防止の軍事秘密一般保全協定(GSOMIA=ジーソミア)の早期締結を」などと矢継ぎ早の注文がつきつけられました。
新ガイドラインも
日米安保戦略会議は安全保障議員協議会(会長・瓦力元防衛庁長官)、米ヘリテージ財団などの主催。八回目の今回は「新QDR(二〇〇六年版四年ごとの米国国防計画の見直し)戦略と日米同盟への期待」がテーマでした。米側からコーエン元国防長官ら、日本側から自民党の久間章生総務会長ら防衛庁長官経験者ほか民主党の前原誠司前代表らが出席し、米新戦略に対応した日米同盟強化の方向が議論されました。
コーエン元長官は同盟国のいっそうの寄与を求める新QDR戦略を踏まえて「新たなるアジェンダ(課題)が日米防衛協力において必要だ」として、現行の「日米防衛協力ガイドライン」の改定が必要との認識を示しました。
コーエン元長官は、日米間のミサイル防衛をめぐる共同開発プロジェクトが今年からスタートしたことを高く評価したうえで「(日米において)法律的、制度的な形で現状変更が必要。それは軍事機密を保護していく取り組みだ」と強調。日米間で軍事秘密一般保全協定の早期締結と日本国内法による軍事機密漏洩防止策を求めました。
ジム・アワー元国防総省日本部長は「新QDRでは英国、豪州は『特に親しい同盟国』としているが日本はそのなかに入ってない。日本が『普通の国家』ではないからだ」と指摘し、日本が同盟国として軍事面における憲法上の制約を一掃するよう求めました。
自民・民主が呼応
久間総務会長は今後の防衛政策のとるべき方向として、最先端軍事技術の追求、情報収集能力の向上、米国とのGSOMIA締結による機密情報管理体制の強化などを提言しました。
民主党の松本剛明政調会長は外交安全保障政策における国内の政治状況に触れて「久間先生の話を聞いて全く同感だ。国会に行くとなぜか分かれて議論しなければいけない。国会内は全部ではないが八割から九割は日本と米国の関係を基軸と位置付けて、これを深化させるという認識で、国際協力についても共通する」と自民党との共通認識にある立場を強調しました。
前原前代表も「危機管理、安全保障には与党も野党もない観点から話をしたい」としたうえで、情報能力向上に言及し「アメリカのCIA(中央情報局)、英国のMI6(国家情報部)のような組織を、日本も真剣につくることを政治の議題としていくことが重要だ。同時に機密漏洩防止の仕組み、法制度を整え、罰則強化することが大事だ」と語りました。
日本の産業界兵器産業界を代表した日本経団連の西岡喬副会長(防衛生産委員会委員長)はミサイル防衛技術の日米共同開発のスタートをうけて日米両政府に機密情報保護の取りきめ締結を求めるとともに武器輸出三原則の緩和を要求しました。
会場では例年同様、日米両国の兵器メーカーが弾道弾の模形などを展示し、商談が重ねられました。