2006年8月15日(火)「しんぶん赤旗」

首都圏大停電 都市機能マヒ

自動バックアップ機能せず


 十四日朝から約三時間にわたって首都圏を突然襲った大規模な停電。発端は、旧江戸川をまたいでいた東京電力の送電線の損傷ですが、安全上多重化されていたはずの送電線網のバックアップ体制の弱点が、今回の大規模停電であらためて露呈しました。

 東京電力によると、大停電の発端となった送電線の損傷は、「江東線」とよばれる二十七万五千ボルトの高圧基幹送電線で発生しました。損傷をうけた送電線は、三本一組二系統計六本のうちの三本。東京電力によると、一系統が損傷をうけても、もう一方の系統でバックアップすることができるようになっていましたが、今回、クレーンが二系統の計三カ所の送電線に損傷をあたえ、バックアップが機能しませんでした。

 このため、東京電力は、送電の復旧を「電力需給のバランスをくずさないように手作業でおこなわなければならなかった」と説明します。

 首都圏への電力供給は、環状と放射状の送電線を組み合わせて行っています。環状の送電網は五十万ボルトで、変電所でいったん二十七万五千ボルトに電圧を落として「上流」側から「下流」側に放射状に電圧を下げながら供給するようになっています。一つの基幹送電線のトラブルの影響が、つぎつぎと連鎖的に拡大してしまったといいます。

 東京電力によると、下流側の変電所では横には接続されていませんでした。このため、東京電力の運転管理者が手動でネットワークを接続し、う回路をつくらなければなりませんでした。

 送電線網の多重化・安全対策は、これまで電力会社まかせにされてきました。今回の事故を教訓に、国・電力会社による基幹送電線網のバックアップ体制の抜本的な見直しが迫られています。(宇野龍彦)


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