2006年8月15日(火)「しんぶん赤旗」

教育基本法改悪案

教員研修・PTA大会

文科省、幹部送り宣伝

教員や保護者から批判


 秋の臨時国会で政府・与党が成立を狙っている教育基本法改悪法案について文部科学省が、夏休みの教員研修会やPTA大会に幹部を派遣、政府の改悪法案を宣伝していることが明らかになりました。憲法・教育基本法にもとづいて教育行政をすすめるべき当事者が、賛否両論のある政府案を一方的に宣伝することに教員や保護者から批判の声があがっています。


 香川県では二日、三日の「教育課程運営改善研修会」で、文科省視学官が一時間半の講演の中で政府案について説明。配布資料の中にも文科省作成の政府案の説明が入っていました。同研修会は県教育委員会と高松市教育委員会の主催。「出張扱い」となる公的なもので、小中学校の教員千七百人が参加しました。

 香川県教職員組合は九日、県教委に対して「政治的中立を厳守すべき貴教委が、政府・与党の立場にくみしたことに強く抗議の意を表する」と文書で申し入れました。県教委は「指導要領改定や中教審答申を説明してもらうためによんだ。教育基本法の説明は文科省側の意思でおこなったもの」と話しています。

 七月七日に千葉市で開かれた関東地区高等学校PTA連合会大会では、政府案作成を担当した文科省の板東久美子審議官(現在、内閣府男女共同参画局長)が「教育基本法改正にみなさまのご理解を」と三十分も話しました。特に批判の強い愛国心と教育行政については政府側の考えを詳しく展開しました。

 参加した保護者の一人は「反対意見の存在を相当意識していると感じた」と言います。同大会には三千二百人が参加し、政府案の説明資料が文科省の封筒に入れて配られました。

 同大会を運営した千葉県高校PTA連合会の事務局は「文科省からの依頼で時間を設けた。十分ぐらいの予定が大幅に超過した」と言います。

 東京都公立高等学校PTA連合会でも七月二十一日の全都会長会で文科省側からの説明が行われています。二十六、二十七の両日に宮崎市で開かれる日本PTA全国研究大会でも教育基本法改定の特別分科会が開かれます。内容について事務局は「文科省に任せている」と言います。

 文科省担当者は本紙の取材に対して「政府案は政府として説明する責任がある。一方的という感じ方もあるかもしれないが、そういうつもりはない」と答えています。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp