2006年8月13日(日)「しんぶん赤旗」
ごみ焼却炉談合
公取・裁判 相次ぎ“違法”認定
メーカー反省なし
自治体が発注するごみ焼却炉をめぐって、公正取引委員会が日立造船(大阪市)など大手メーカー五社による談合を認定し、全国各地の裁判所も「談合によって損害を受けた」とする住民の訴えを認める判決を相次いで出しています。ところが、メーカー五社は、談合行為をやめるよう命じた公取委の審決を不服として、取り消しを求める訴訟を七月二十七日に東京高裁に起こすなど、全面的に争う姿勢を示しています。(藤沢忠明)
自治体の姿勢問う判決も
メーカー五社は、日立造船のほか、JFEエンジニアリング(旧日本鋼管、東京都千代田区)、タクマ(大阪市)、三菱重工業(東京都港区)、川崎重工業(神戸市)。
公取委は一九九九年八月、ごみ焼却炉の一種のストーカ炉工事で九四年から九八年に計六十件の入札で談合を繰り返したとして、五社に独占禁止法違反(不当な取引制限)で排除勧告を出しました。ところが、五社は「談合はなかった」として、これを受け入れずに審判で争ってきました。
公取委は今年六月二十八日、二十五回の審判を経て、改めて独禁法違反を認定する審決を出しました。
一方、ごみ焼却炉の談合では、「談合によって建設費が不当につり上げられ、損害を受けた」として、損害額の自治体への返還をメーカー側に求める損害賠償訴訟が、住民や市民オンブズマンによって全国で十三件起こされています。二つの地裁に複数工事を提訴しており、公取委が談合と認定した六十件のうち、十八件が訴訟の対象となっています。
このうち、昨年八月、京都地裁が川崎重工業に十一億四千四百五十万円の返還を命じたのを皮切りに、さいたま、福岡、東京、横浜の各地裁が住民勝訴の判決を相次いで出しました。
九月には、神戸、鳥取、新潟の各地裁の判決が予定されています。
注目されるのは、五社に二十億八千八百一万円の返還を命じたことし四月の福岡地裁です。
五社のうち、いずれかが落札した物件と、五社以外の企業が落札した物件の落札率(予定価格に対する落札額の割合)を比較、前者の平均落札率が後者のそれより6・8%高いことを指摘。「被告五社の談合により福岡市の被った損害額は契約額の7%に相当するのが相当」としたのです。
メーカー側は、五地裁の判決とも控訴するとともに、今回の公取委の審決についても、「これまでの主張が反映されておらず、改めて司法の場で判断を仰ぎたい」(JFEエンジニアリング)などと、全面的に争う構えです。
一方、さいたま地裁を除く四判決は、いずれも発注者である自治体や、「多摩ニュータウン環境組合」(東京都の多摩、八王子、町田三市で構成)が談合メーカーに損害請求しないのは、「違法」と認定しています。
多摩市の住民団体が、日立造船に賠償請求するよう行政側に働きかけるなどしていますが、談合を認めようとしないメーカーとともに、談合の結果として住民に損害を与えた自治体の姿勢も問われています。

