2006年8月12日(土)「しんぶん赤旗」

原爆症認定・国の控訴

「引き下がるわけにいかん」

原告団や弁護団が記者会見


 厚生労働省が原爆症認定集団訴訟の広島地裁判決を不服として控訴した問題で、原告団や弁護団が十一日、広島市の県弁護士会館で記者会見をしました。「控訴した人たちは人間の心をもっているのでしょうか」と口々に抗議しました。

 佐々木猛也弁護団長は「こんなにも早く控訴するとは。挑戦的なものを感じる。厚労大臣は六日に広島に来た際、時間をかけて調査するといったはず。許しがたい行為」だと批判しました。

 四月に亡くなった原告、西博さん(74)の妻、妙子さん(65)は、地裁判決後、東京の厚生労働省に陳情に行ったときのことを紹介しながら、こう訴えました。

 「室内に通されることなく門外で長く、待たされた。健康を害する被爆者は外にさらされ、人間扱いされなかった。そのあげくの控訴。彼らに人間の心はあるのでしょうか」

 原告の岩井留明さん(63)は「原爆で父、母、四人の兄弟を亡くしました。幸い娘がいて孫がいます。訴訟への理解もある。私の代で解決しないとなれば、次の世代に託したい。原爆を繰り返したらいかんのです。引き下がるわけにはいきません」といいました。


 原爆症認定集団訴訟 厚生労働大臣が原爆症と認定した被爆者の負傷や疾病について、国は治療費のほか、十三万七千円の医療特別手当を支給します。しかし、実態にあわない認定基準によって被爆者健康手帳を持っている二十六万人の被爆者のうち、原爆症と認定されているのは二千人程度です。このため、日本被団協が被爆の実態を広く知らせ、国の被爆行政をかえようとよびかけ、全国十六カ所で百八十三人が訴訟を起こしています。九人全員が勝訴した五月の大阪地裁判決についても国が控訴したため原告も控訴しています。


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