2006年8月10日(木)「しんぶん赤旗」

労働時間、有給休暇 欧米と日本では?


 〈問い〉 欧米と日本では、労働時間、有給休暇がまるで違うということですが、どれくらい違うのですか?(岡山・一読者)

 〈答え〉 日本の労働時間は、欧米と比べて長く、異常な長時間労働になっています。

 2003年の年間総労働時間(製造業)を比較すると、日本が1975時間、アメリカが1929時間、イギリスが1888時間、ドイツが1525時間、フランスが1538時間。日本の労働者は、ドイツやフランスの労働者より、年間450時間も長く働いていることになります。さらに日本には、悪名高い「サービス残業」が横行しており、これを加えると、2273時間(総務省労働力調査)になります。

 また、国際労働機関(ILO)の調査によると、週の労働時間が50時間以上の労働者の割合(00年)は、日本が28・1%、アメリカが20%、イギリスが15・5%、ドイツが5・3%、フランスが5・7%で、日本は、ドイツ、フランスの5倍になっています。

 異常な長時間労働の原因のひとつは、時間外労働の法的規制に抜け道があるからです。

 労働基準法は、1日8時間、週40時間と規制していますが、「特別延長時間」についての労使協定を締結すれば、年700〜800時間もの時間外労働ですら可能になります。

 時間外労働を1日、1週などの単位で上限時間を法律で規制する欧州諸国とは異なっています。時間外労働の最も長い国は、アメリカ(218時間)ですが、日本はそれに次ぐ189時間です。

 もうひとつの原因は、有給休暇が少ないことです。

 年次有給休暇の付与日数は、日本が最高20日、イギリスが4労働週、ドイツが最低24日(労働協約により平均30日)、フランスが30日。アメリカには連邦法上の規定がありません。

 しかもドイツとフランスでは、連続付与が法律で定められており、ドイツは12日、フランスは最高24日となっています。日本には、連続付与の規定がありません。さらに、日本の年次有給休暇の取得率は8・5日であり、労働者の権利として年休のすべてを取得するのが社会通念になっており、取得率に関するデータすら存在しないドイツとフランスに比べると、大きな違いがあります。

 ヨーロッパでは、労働時間短縮のための長いたたかいの成果が、労働者と家族の生活のあいだに生活習慣として定着しています。(筒)

 〔2006・8・10(木)〕


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