2006年8月10日(木)「しんぶん赤旗」
主張
原水爆禁止06年大会
草の根から国際政治動かそう
「核兵器のない平和で公正な世界を」をテーマに開かれた原水爆禁止二〇〇六年世界大会は、長崎への原爆投下から六十一年の八月九日、国連と加盟国政府に、核兵器全面禁止条約締結の交渉をすみやかに開始することを求める手紙(大会決議)を採択し、全日程を終了しました。
米の核政策に批判集中
今年の世界大会は米ブッシュ政権が「テロや拡散の阻止」を口実に、核兵器の使用政策や核兵器開発をすすめる一方、国際政治の舞台では、核兵器廃絶を議論すること自体を拒否するという重大な情勢のもとで、ひらかれました。イスラエルのレバノン攻撃にたいし、国際社会が戦火の拡大を懸念し、平和解決をつよくもとめる世論もひろがっています。
こうしたもとで、世界の反核平和運動の代表と、核兵器廃絶をめざす政府代表の交流と共同の場として発展してきた世界大会が、どのような方向をうちだすのか注目されていました。
今年の大会には、エジプト外務次官補、マレーシア外務次官、メキシコ外務省・国連局長、キューバ駐日大使代理、アラブ連盟軍縮・戦略問題特別顧問らが参加し、ニュージーランド首相やベトナム国家主席、カナダ駐日大使など六カ国政府からメッセージがよせられました。
大会では、核兵器の「拡散」を武力で阻止することも辞さないブッシュ政権に批判が集中しました。このもとで、政府代表らも一致して、問題の根本的な解決は核軍縮、核兵器廃絶に、早急にとりくむことであることを強調し、「すみやかな核兵器廃絶」という共通目標を、今日の情勢のもとで確認しあいました。また、「外交も世論にささえられてこそ力を発揮できる」「外交と運動の一致した基盤は、国連憲章である」との発言もあり、諸国政府と反核運動との共同発展にむけて、心のこもった交流がおこなわれたのも、大きな特徴でした。
世界大会は、今後の運動の中心要求として「国連総会での核兵器全面禁止条約締結をもとめる決議の採択」をかかげました。そして、その実現にむけて、「草の根からの運動と国連をむすぶ『すみやかな核兵器の廃絶のために』署名をはじめ、世界各地で多様な活動をくりひろげ」ることをよびかけました(国際会議宣言)。
昨年末、日本原水協が、国連に核兵器全面禁止のための協議をすみやかに開始するよう求めて提起し、全国各地で取り組まれている国際署名「すみやかな核兵器の廃絶のために」には、海外の有力な反核運動団体がこぞって支持を表明するとともに、諸国政府の代表からも多数の賛同がよせられてきました。今年の世界大会での諸国政府と運動との共同も、こうした運動の発展を土台にしたものです。
多様な運動と連帯し
大会はまた、反戦、基地撤去、軍事費削減と社会保障の充実などをもとめる「多様な運動と連帯し、核兵器廃絶をせまる世論と運動を築きあげる」ことをよびかけました(国際会議宣言)。憲法九条擁護、米軍「再編」反対などのたたかいをすすめながら、核廃絶署名にとりくむ日本の運動のはたす役割はいっそう大きくなっています。
広島での原爆症認定集団訴訟勝利と被爆者の願いを受け継ごうとする若者の姿は、世界大会参加者に大きな希望を与えました。この秋に開かれる第六十一回国連総会をはじめ、国際政治に内外の世論を大きく結集していくことが求められています。