2006年8月6日(日)「しんぶん赤旗」

主張

広島・長崎61年

核兵器廃絶を被爆者とともに


 一九四五年八月六日、九日の、アメリカによる広島、長崎への原爆投下から、六十一年を迎えます。

 原爆地獄を生きのびた被爆者が、苦しみをのりこえ、訴え続けた「ふたたび被爆者をつくるな」の願いは、核兵器廃絶の世論と運動の原点です。

全員勝訴に世界の唱和

 「核兵器のない平和で公正な世界を」をメーンテーマに開かれた原水爆禁止二〇〇六年世界大会。国際会議の宣言は冒頭、被爆者の願いの意味を次のように強調しました。

 「ヒロシマ・ナガサキをくりかえすな!」この被爆者の声は人々の心を動かし、草の根からの運動と世論の力はいくたびも核兵器使用の手をおさえ、さらにいま自治体、諸国政府の努力とあいまって、核兵器廃絶をもとめる大きな流れを創(つく)りだしている。――

 しかし、被爆者のたたかいはいまも続いています。被爆者は、新たな核兵器使用の危険を警告するとともに、アメリカの核の傘のもとでその被害を直視しようとしない日本政府にたいし、三年前から原爆症認定を求める集団訴訟のたたかいを力強くすすめています。

 被爆地、広島地裁で、原爆症認定を求める四十一人の原告全員の勝訴判決が出された四日―。世界大会広島会場に「全員勝訴」が知らされると、海外二十一カ国七十人の代表を含む七千三百人余の参加者が総立ちで拍手を送りました。

 「世界に誇れる判決」(弁護団長)という広島地裁判決は、原告九人全員が勝訴した大阪地裁判決(五月)に続くもので、国の認定基準の不当性を重ねて明らかにしました。

 両判決では、国が“原爆放射線の影響はない”とほとんど認定してこなかった、原爆投下後に爆心地に入った「入市被爆者」や爆心地二キロ以遠で被爆した「遠距離被爆者」も勝訴しました。

 残留放射線による内部被曝(ひばく)など、放射線の人体への影響がまだ解明されないもとで、国の基準は、「一応の単なる判断の目安」にすぎないとして、「機械的に適用すべきでない」とのべました。また、被爆者に放射線の影響について立証を要求することは、「不可能を強いることになりかねない」(広島地裁判決)としています。認定にあたっては被爆状況、健康状況などを全体的・総合的に判断すべき(大阪・広島両判決)と強調しています。

 世界大会の参加者からあがった「国は控訴するな」の唱和を、国は重く受け止めなければなりません。国は、認定行政の見直しに直ちに着手し、抜本的な改善に踏み出すべきです。

 原爆症認定を求める集団訴訟は、六十年もの間苦しみ続けた被爆者の救済とともに、原爆被害を軽視する国の姿勢をただすたたかいです。

若者は明日への希望

 八月十日、結成五十年を迎える日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)は、結成宣言で「自らを救うとともに、私たちの体験をとおして人類の危機を救おうという決意」を誓い合いました。この思いが、いまも多くの被爆者をつきうごかし、若い世代に受け継がれています。

 世界大会参加者の三分の一が二十代の青年です。「被爆者のねがいと決意を受け継ぐ多くの若者の姿は、明日への希望」(国際会議宣言)です。

 被爆国であり、憲法九条をもつ日本の国民が、被爆者とともに、また、未来を生きる世代とともに、核兵器の脅威のない、新しい世界を切り開くために行動することをよびかけます。


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