2006年8月4日(金)「しんぶん赤旗」

爆撃に国内から批判

イスラエル


 【パリ=浅田信幸】レバノンに対する軍事作戦について、イスラエルの国内世論は圧倒的多数が支持と伝えられる中で、同国バルイラン大学メナヘム・クレイン政治学教授は「武力で問題は解決しない」とオルメルト政権の方針を公然と批判しました。同氏が、七月二十八日付仏週刊誌『ヌーベル・オプセルバトゥール』(電子版)への寄稿文で表明したものです。

 クレイン氏は、イスラエル政府の方針について、「イスラエルが攻撃で伝えたのは『傷を受けて頭にきた。こちらが一人殺されたら、相手には十人の死者が出る』という単純で乱暴なものだ」と指摘しています。

 同氏は、レバノンのシーア派民兵組織ヒズボラのテロ戦略はもともと、「強力なイスラエル軍と脆弱(ぜいじゃく)なヒズボラの間の不均衡」から生まれたもので、侵略を受けたレバノン民衆の怒りに根ざしていると指摘。イスラエル軍の「釣り合いのとれない反撃は(ヒズボラの攻撃に対する)抑止力とはならない」と述べています。

 その上で「イスラエルにはヒズボラを一掃することは絶対にできない。殺され避難民にされた非戦闘員が増えれば増えるほど、アラブ人の怒りは大きくなる」と言い切っています。

 クレイン氏は、バラク元首相(一九九九―二〇〇一年)の外交顧問を務め、〇三年にイスラエルとパレスチナの市民レベルで結ばれたジュネーブ和平合意の推進者の一人でした。


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