2006年8月4日(金)「しんぶん赤旗」

世界大会・国際会議 緒方副委員長の発言(要旨)

核軍事力背景のブッシュ政権
国際平和秩序の流れと対立


 原水爆禁止二〇〇六年世界大会・国際会議の一日目(二日)、日本共産党の緒方靖夫副委員長・参院議員が第二セッションでおこなった発言(要旨)を紹介します。


 原水爆禁止世界大会は近年、核兵器廃絶という共通した目標を掲げ、各国政府、自治体、非政府組織(NGO)、平和運動、市民が被爆地に集結し、反核平和の課題を世界に発信してきました。政府、自治体と国民の運動が合流するグローバルな運動は新しい形態であり、二十一世紀の平和の流れを象徴するものです。

 昨年五月の核不拡散条約(NPT)再検討会議を決裂させた米国政府は、今年公表した「四年ごとの国防計画見直し(QDR)」報告で、「米国の国力の根本である強固な核抑止力を維持する」と主張しています。

 昨年来、米国防総省が核兵器と通常兵器の使用をますます一体のものとし、核兵器使用の敷居を低める新たな「統合核作戦ドクトリン」を作成していることが報道されてきました。QDRは、その方向をいっそう強め、米国は「グローバル・ストライク(全地球規模の打撃)」の能力をもつ必要があると、次のように強調しています。

 「固定目標、強固で深く埋設された目標、可動目標、そして再配置可能な目標を、大統領の命令に応じて、世界のどこでも可能に、しかもいっそうの正確さをもって攻撃できる能力をもつ。核兵器は、現代的な抑止の必要性を満たす正確で、安全な、信頼でき、個々の状況に適合したものとなる」

 唯一の超大国の圧倒的な核軍事力を背景にしたブッシュ米政権のあからさまな覇権主義は、国際平和秩序の流れを基調とする二十一世紀の世界に受け入れられるはずがありません。それは、とりわけ戦争が泥沼化しているイラクをめぐる現実によって示されています。

 こうした現実に直面したブッシュ政権は、米国は「長い戦争」のさなかにあると繰り返し強調し、「ブッシュ・ドクトリン」の手直しをすすめました。「単独行動」「先制攻撃」の選択肢は残したまま、同盟国をこの「長い戦争」に取り込もうとするものです。

 しかしNATO(北大西洋条約機構)に多くの国が加盟する欧州でも、今年六月、欧州議会に、欧州に配備されている米国の核兵器を今年末までに撤去するよう求める決議案が提出されました。

 北東アジアでは北朝鮮が先月おこなったミサイル発射が、地域の安全をめぐる大きな問題となりました。先月末開かれたASEAN(東南アジア諸国連合)地域フォーラム(ARF)は北朝鮮が六カ国協議とミサイル実験凍結に立ち戻ることを促しています。この立場は北朝鮮の核、ミサイルをめぐる問題をあくまでも平和的に解決するという国連安保理の全会一致の決議の立場を改めて地域全体の一致した意思として表明したものです。

 北朝鮮のミサイル問題で国際社会が緊張して協議していたとき、日本の外務大臣は「金正日に感謝しないといけない」と発言しました。この事件を、ミサイル防衛の早期実施や軍備拡大、防衛庁の省昇格から日本国憲法の平和条項の撤廃まですすめる口実にできるとみた無責任な軍拡志向の発言です。

 日本政府が憲法に違反して、世界有数の軍備をもつ国になりながらも、海外派兵や武力行使ができないできたのは、憲法の平和条項が課した制約によるものでした。憲法九条は、アジアと日本の多大な犠牲の上に成り立っているかけがえのない世界の宝です。改憲の道は、アジア諸国との友好への逆行であり、かつてたどった軍国主義の復活の道であり、断じて許すわけにはいきません。

 日本の国民世論は平和と友好を強く求めています。アジアや世界の人々と連帯し、反核平和のためのたたかいを大いに発展させましょう。


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