2006年8月2日(水)「しんぶん赤旗」

野生動物の被害防止と保護 どう考える ?


 〈問い〉 シカやサルなど各地で野生動物の被害がふえています。野生動物の被害防止と保護について日本共産党はどう考えていますか?(京都・一読者)

 〈答え〉 イノシシやシカなどの哺乳類やカラスなどの鳥類による農作物の被害金額は約200億円(2004年度)を超えています。イノシシ、シカ、サルの獣類被害が9割で、鳥獣全体の5割強になります。森林被害面積は約7万4千haで、シカによる被害が5割以上を占めます。

 シカやイノシシなどの増加による農林業被害や生態系の撹乱が深刻化する一方、クマ等は地域によって個体群の絶滅が懸念されます。

 人と野生鳥獣の共存には、科学的・計画的な保護管理が必要です。都道府県が策定する「特定鳥獣保護管理計画(特定計画)制度」により、地域的に著しく増加または減少している種の個体群を対象に、個体数の管理、生息環境の整備、被害防除対策などについて、目標及び方法を定めて実施していますが、個体数の管理に片寄るなど不十分な保護管理となっています。

 先の通常国会には「鳥獣保護及び狩猟適正化法一部改正案」が提出され、農業被害の増加を抑えるため、法改正を行いました。

 その内容は、〈狩猟の規制については〉(1)特例として、休猟区であっても都道府県が指定した区域で特定鳥獣の捕獲等ができる。(2)農家等の狩猟免許の取得促進のため、「網・わな猟免許」を「網猟」と「わな猟」に免許区分を変更するなど狩猟の規制を緩和する。それにたいする安全性を担保するために危険性の高いわなの使用禁止・制限区域を指定し、違法な網及びわなの設置防止のため、設置者の住所、氏名等の表示を義務付ける。

 〈鳥獣の保護施策強化のために〉鳥獣の違法捕獲・違法輸入防止のため、適法に輸入された鳥獣に環境大臣が標識を交付、装着を義務付ける、などです。

 規制緩和によって狩猟の担い手を確保し、狩猟を活用した農林業被害防止、鳥獣保護区の機能強化、違法捕獲防止など、当面する農林業被害の増加やあとをたたない鳥獣の違法捕獲に対応したものです。

 参議院環境委員会で、日本共産党は、農林業被害防止を重視し、同時にわな猟による事故や錯誤捕獲、農家への負担を指摘し、鳥獣被害防止対策などへの予算措置の改善を求めました。

 当面の被害防止など緊急対策とともに中・長期的対策として森林の整備や、里山を適正に管理すること、そのためには現場での経験や専門知識を持つ人材を育成し、活用することを要求、法案に賛成しました。(嶋)

 〔2006・8・2(水)〕


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp