2006年7月26日(水)「しんぶん赤旗」

「自民党改憲案」、政党への介入統制のねらいは?


 〈問い〉 自民党の「新憲法草案」では政党へ国家が介入できる条項が新たに加えられていますが、どのように考えますか。(新潟・一読者)

 〈答え〉 自民党の「新憲法草案」(05年11月)は、「国は、政党の…活動の公明及び公正の確保ならびにその健全な発展に努めなければならない」(第64条の2)と、新たに政党についての項目を設けています。

 このことに踏み込んで言及した同党の「憲法改正草案大綱」(04年11月)は、これを政党法の制定とむすびつけ、「政党の内部組織及び活動は、民主主義の諸原則に適合的なものでなければならないものとし、その規準については、法律でこれを定めるものとすること」と規定することを提唱しています。

 衆院憲法調査会の論議でも、「政党の自由・公正・透明性を確保するため、政党の内部秩序、党内民主主義、資金の公開等とすべきである」と議論がなされており、国家による政党への内部問題への介入・関与であることは明らかです。

 もともと政党は憲法21条の結社の自由にもとづいて、国家から監督や規制を受けずに活動する自主的な組織であり、その活動は全面的に保障されなければなりません。国から政党助成金を受けたり、企業・団体献金を受けていれば、国民本位の政治がおこなえないことは、すでに明らかです。さらに、政党の内部規律や活動のあり方まで法律で決めれば、そこでいう「自由」は時の多数党の考えを基準とするものにならざるをえません。

 かつて自民党は中曽根内閣のときに、政党法の制定をくわだてました。「政党法要綱・(吉村試案)」(83年)は、「革命の防止に寄与する」かどうかを、政党を公認するかどうかの基準にし、寄与しない政党は認めないというもので、思想・信条・結社・表現の自由を真っ向から否定するものでした。しかし自民党は世論の総批判を受けて、政党法の国会への上程はできませんでした。

 いま、財界は自民党、民主党の「保守二大政党制」を定着させるうえで、対抗軸である日本共産党を排除するため、比例代表選挙の廃止による完全小選挙区制の実現と一体のものとして、政党法の制定をたくらんでいます。政党法のくわだては、議会制民主主義の自殺行為といわざるをえません。(竹)

 〔2006・7・26(水)〕


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