2006年7月24日(月)「しんぶん赤旗」

小林運輸倉庫の偽装倒産に断罪

札幌地裁 雇用継承を認定

建交労分会に画期的決定


 偽装倒産で二度も解雇するのは許せないと建交労小林運輸倉庫分会(横江隆分会長)が小林運輸倉庫(札幌市、小林幸男社長)を相手取り、地位保全の仮処分を申し立てていた争議で、札幌地裁は二十一日、未払い賃金の支払いとグループ会社の一体性と雇用の継承を求めた組合側の主張を認める画期的な決定を出しました。分会は二十三日、組合員が集まりやすい江別市で集会を開き、全面勝利決定を喜びました。


 同社は一九五六年に設立され、百五十台の大型トラックを所有していた地場の中堅運送会社。「従業員は黙って働けばいい」というワンマン社長のもと、一割の賃下げを契機に九九年四月、横江さんらが「労働条件変更はせめて話し合いで」と運輸一般(現・建交労)分会を結成しました。

「会社つぶす」

 会社は団体交渉を一切拒否し、「組合活動を続けるようだったら、社長は会社をつぶすといっている」とどう喝。組合員を職場から排除するため、あらゆる手段を使ってきました。

 二〇〇〇年三月には、別会社のワイケイ・コーポレイションを設立し、組合員以外の運転者を転籍させる一方、小林運輸倉庫の運輸現業部門を〇一年四月で解散、組合員全員を解雇すると通告。「運輸現業部門の廃止」が大きな争点になりました。

 地裁の決定は「小林運輸倉庫が運送の依頼を受け、同じ従業員が配車手続きをし、同じトラックで同じ運転手が運送業務を行い、車両燃料費を負担しており、実体は従前とほとんど変わりがなかった」と断じました。

 運輸現業部門を別会社ワイケイに譲渡し、小林運輸倉庫の「運輸現業部門」は廃止されたという会社の主張に対しても、「運輸現業部門は、真に廃止されたとはいえない。得意先関係の経済的価値のある事実関係を含む有機的一体として機能する財産の譲渡は認められない」と指摘。事実上も営業譲渡があったと評価することができず、小林運輸倉庫で実質的に運送事業を行っていた―と明快に判断しました。

再び会社解散

 「雇用契約の継承」も争点になりました。

 会社は別会社ワイケイ設立後も事務・管理部門や整備工場を分社化します。そして〇五年七月、「経営悪化」を理由に、再び会社を解散し、またも全員解雇を通告します。

 組合員は「出向部門」に属していたのだから、承継の対象ではないとの会社の強弁にも、地裁は「小林運輸倉庫から出向していた配車係の雇用契約は承継されているのであるから…会社分割により債権者(組合員)の雇用契約も、承継されると解することが自然であり、これを否定する合理的な理由も認められない」と述べました。

賃金支払いも

 「地位保全の必要性」も争点の一つでした。

 地裁は、組合が訴える「著しい損害、急迫の危険」を認めたうえ、「労働契約の中核をなす賃金の仮払いを命ずる以上に、労働契約上の地位を定めることについて、保全の必要性を認めるには至らない」としました。

 他方、会社が「雇用保険を受領しているのだから、必要はない」と主張していたことには、雇用保険は「労働者の当然の権利であり、むしろ債権者が雇用保険を受給しているということは、労働の機会が得られず、生活保障の必要がある状況にある」といって、組合員が解雇された〇五年七月から、賃金の仮払いを実行するよう求めました。

 会社は最初の解雇を通告した当時、三期連続で一億円以上の所得をあげていました。分会は、会社存続が危ぶまれる状況に全くなく、収益部門を「不採算部門」と呼んで営業譲渡する必要がないことを徹底的に明らかにしてきました。

 追い詰められた会社は、解雇を撤回し就労させると約束しましたが、数日後に冷房も水道もトイレの設備もない五畳のプレハブ小屋に労働者二十人を押し込め、組合つぶしと人権じゅうりんをくり返し、社会の批判を浴びました。

 横江さんは「昨年夏の解雇から一年。待ちに待った裁判所の決定がだされ、とてもうれしい。多くのみなさんの支援と十四人の組合員と家族の頑張りが勝利につながったと思います。一刻も早く決定を履行させ、職場に戻って仲間と仕事をしたい」と話しています。

 激励先=全日本建設交運一般労働組合小林運輸倉庫分会 小樽市色内二の一三の五市民センター二階 電話0134(23)4729、ファクス0134(25)3345


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