2006年7月20日(木)「しんぶん赤旗」

CS放送「各党はいま」

志位委員長が語る

北朝鮮外交

国際協力で協議の場へ

国連安保理決議を評価


 日本共産党の志位和夫委員長は十九日放映のCS放送・朝日ニュースター「各党はいま」に出演し、北朝鮮問題や小泉外交の総括について朝日新聞の星浩編集委員の質問に答えました。


全会一致の国連決議 

北朝鮮は従うべきだ

写真

(写真)朝日ニュースター「各党はいま」に出演する志位和夫委員長

 ―北朝鮮ミサイル発射からサミットに至る一連の動きをどう見るか。

 志位 ミサイル発射については国際的ルールに違反し、「日朝平壌宣言」はじめ国際的取り決めを踏みにじるものとして厳しく抗議してきました。同時に、国際社会の対応としては、一致した対応が何よりも大事だと主張してきましたが、国連安保理でミサイル発射を非難し、国際的取り決めの順守と六カ国協議復帰を求める決議が全会一致で可決されたのは非常に重要なことでした。北朝鮮はこの決議を重く受け止め、従うべきだと強くいいたいと思います。

 ―外交交渉の過程で日本がやや突出し、“中国の拒否権発動があってもいい”との発言もみられたことについてどうか。

 志位 日本の一部の閣僚や政府高官から“中国に拒否権を使わせてもいい”“中国をあぶり出したらいい”などの声が出たのはまずい態度でした。かりに安保理が分裂する事態に陥ったら、北朝鮮の事態への有効な対応ができなくなり、六カ国協議も空中分解になりかねない事態でした。結果的には全会一致でよかったが、経過のなかでは問題点を残しました。

 ―北朝鮮のもくろみと結果について。

 志位 「瀬戸際外交」ですね。武力の威嚇で要求を通そうということです。しかしそれは通じない。結局、よりいっそう深刻な国際的な孤立を招くということを知るべきです。国際社会のまともな一員になるためには、国際的ルールや取り決めを守り、無法行為を清算することが避けて通れません。

「敵基地攻撃」論

―軍事的対応の悪循環と先制攻撃論になる

 ―閣僚や自民党関係者から「敵基地攻撃論」が出たが。

 志位 結局、撃たれそうになれば撃つという「先制攻撃論」になるんですね。北朝鮮の無法行為をやめさせようとしている最中に、国連憲章を破る無法の先制攻撃論の議論を持ち出すのは一番悪い姿勢です。

 麻生外相が「金正日に感謝しなければならない」と発言しましたが、こうなると真剣に日本の平和や安全を考えての行動ではなく、北朝鮮を利用して憲法改定や軍拡を進めるのが本音だったのではないかということになります。この問題を利用してタカ派路線に突っ走るのは一番悪い党略です。

アジアと関係壊し、米国と異常な従属 2つの罪

 ―小泉外交締めくくりの評価は。

 志位 アジアとは靖国参拝問題でまともな付き合いができなくなり、一方で米国と異常な従属体制をつくった二つの罪があります。この前の日米首脳会談で「世界の中の日米同盟」という共同文書を出しました。一九九六年の橋本・クリントン会談で日米同盟を「アジア・太平洋」に広げましたが、今度は「世界」に軍事共同を広げるとんでもないものです。

 靖国問題は小泉首相自身が引き起こした問題ですから、みずからきちんと是正して任期を終えることが筋です。まして参拝を繰り返すことがあってはならない。自民党の新総裁に誰がなろうが間違った道を受け継いではならないといいたい。

「骨太」でなく「骨を削る」方針

 ―政府の「骨太の方針」については。

 志位 「歳出入のギャップがある」といって国民のくらし、福祉、教育を削り「骨太」といいながら“骨を削る”ような冷酷な切り捨て政治をやろうとしています。「これ以上は勘弁して」というところで消費税増税をおしつける状況をつくろうとしています。“兵糧攻め”したあげくに増税を押し付けるやり方です。

 六月の高齢者への住民税大増税で全国で怒りが沸騰しています。小泉政権の増税が実施された段階で激痛が走っているのです。「骨太」の名で“骨を削る”方向は国民との矛盾をいっそうひどくします。「歳出入のギャップ」といって財政の問題を考えるのでなく、空前のもうけをあげている大企業と高額所得者にこそ応分の負担を求めるべきです。


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