2006年7月14日(金)「しんぶん赤旗」

憲章「7章」発動で違い

「北」ミサイル問題

日米と中ロの安保理決議案


 北朝鮮のミサイル問題をめぐり、国連安保理には二つの決議案が提示されています。日米両国などの案と中ロ両国の案は、制裁措置について規定した国連憲章第七章を発動するかどうかに基本的な違いがあります。

 国連憲章では、国際紛争が起きた場合は、まず平和的解決に努力するよう各国に義務づけています(第六章)。それでも解決しない場合は、「平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動」を定めた第七章(三九―五一条)を適用することになります。

 第七章を適用するさいは、(1)その問題が「平和に対する脅威、平和の破壊又は侵略行為」かどうかを決定し(三九条)、その上で(2)経済制裁などの「非軍事的措置」をとるかどうかを決め(四一条)(3)それでも「不充分」な場合には「軍事的措置」をとることができる(四二条)―という手順になります。

 北朝鮮のミサイル発射について、日米案が「国際の平和と安全への脅威」と認定しているのに対し、中ロ案は「脅威」とは認定せず、「地域の平和と安定に否定的な影響を及ぼして」いるとしています。

 その上で、日米案が「憲章第七章に基づいて行動する」として、ミサイル関連物資の供与阻止などを各国に義務づけているのに対し、中ロ案は「第七章」に言及せず、ミサイル関連物資の供与阻止などを各国に「求める」内容となっています。日米案は「軍事的措置」には言及していません。

 六カ国協議への復帰を北朝鮮に求める点は、両案とも共通しています。

 中ロ両国が第七章発動に賛成しない理由に関して両国の外交官は、米国主導の対イラク戦争の経験を考慮に入れていることを表明。チュルキン・ロシア国連大使は、第七章発動が、北朝鮮問題だけでなくイラン問題などでも軍事行動への引き金となりうることに警戒していると述べています。

 これに対してパリー英国連大使は、「北朝鮮に関して提示されている決議が、どんな軍事行動も容認するとの議論」があるが、「そんなことはない」と反論しました。(坂口明)


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