2006年7月11日(火)「しんぶん赤旗」

「北」に働きかけ本格化

「6カ国」復帰求める


 ミサイル発射問題での対北朝鮮制裁決議案をめぐって国連安保理での交渉が続くなか、各国が一致して求めている六カ国協議へ北朝鮮を復帰させるための働きかけが本格化しています。


中国副首相 「北」指導部と会談へ

 【北京=菊池敏也】中国の回良玉副首相は十日、北朝鮮の平壌に到着し、六日間の訪問を開始しました。回副首相らは、中朝友好協力相互援助条約締結四十五周年の記念行事に出席するほか、北朝鮮の指導部とも会談します。

 北朝鮮が五日にミサイルを連続発射したことで、今回の中朝交流では、ミサイル問題や六カ国協議の再開問題でのやりとりが焦点となっています。

 回副首相には、六カ国協議議長の武大偉外務次官が同行。北朝鮮のミサイル発射に対して国連安保理に決議案が提出される緊迫した情勢のなかで、武次官は、北朝鮮首席代表の金桂冠外務次官と会談し、ミサイルの再発射を自制し、北朝鮮が早期に六カ国協議に復帰するよう求め、局面の打開をはかるものとみられます。

 中国は、ヒル米国務次官補が訪中時に、米国は六カ国協議の枠内で米朝対話をする姿勢を示したことを重視。北朝鮮に六カ国協議への早期復帰を働きかける構えです。

 日本などが国連安保理に提出した北朝鮮制裁を含む決議案は十日にも採決にかけられます。中国は、決議案の採択で北朝鮮が硬化し、六カ国協議の枠組みを崩しかねないとの懸念を抱いており、議長声明にとどめるよう各理事国に働きかけてきました。

 李外相も九日、十二カ国の外相と電話会談し、「いかなる行動も地域の平和と安定の維持に役立ち、安保理の団結を守るのに役立つものでなければならない」と強調。中国がその立場を貫くためには、今回の北朝鮮との会談で、少なくとも協議復帰の方向が示されることが必要で、これまで以上に粘り強い折衝をするとみられています。


中国の「北」への影響力を期待

米国務次官

 【ワシントン=鎌塚由美】バーンズ米国務次官は九日のCNNテレビで、北朝鮮のミサイル問題について、中国が副首相と外務次官を十日から北朝鮮に派遣することは「非常に興味深い展開だ」と述べ、「中国代表団の訪朝結果が分かれば、われわれが国連安保理でどう動くかが明らかになるだろう」と指摘しました。

 バーンズ氏はNBCテレビの日曜政治討論番組で、ミサイル問題での米国の立場は各国との外交的努力だと改めて強調。「中国が北朝鮮への影響力を行使するとき」であり、「ミサイル実験は許容されないとの直接的なメッセージを送ることに踏み出す好機だ」と指摘しました。

 また、「われわれはいま明らかに外交の機会を、各国が結束した力を使って北朝鮮に影響力を行使する機会をつかんでいる。それは今後数日間、数週間にわたって努力し続けるものになるだろう」と語りました。

 同氏は、米朝間の二国間交渉の可能性について、「(ミサイル発射問題が)米国と北朝鮮の二国間の意思を試す論理となるのは理解できない」と述べ、北朝鮮が六カ国協議に復帰することが先決だとの見方を示しました。


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