2006年7月11日(火)「しんぶん赤旗」
7・9首都圏大集会 志位委員長のあいさつ(大要)
日本共産党の志位和夫委員長が九日、原子力空母の配備に反対し、「米軍再編」合意の撤回を求める「7・9首都圏大集会・in・横須賀」でおこなったあいさつ(大要)は次のとおりです。
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お集まりのみなさん、こんにちは。日本共産党の志位和夫です。(拍手)
私は、昨年十二月十七日に、同じこの場所での集会でごあいさつをしたことを思い出しますが、そのときに比べますと、参加したみなさんが十倍くらいになっています。私は、本当に感激しています。(拍手)
いま日米両国政府は、横須賀への原子力空母の配備を、市長の容認を無理やりとりつけて、強行しようとしています。また、「米軍再編」の「最終合意」を交わし、全国で基地強化と日米軍事一体化の動きを具体化しようとしています。
こういう重大な情勢のもとで、首都圏の平和を守る声を総結集して、このような大集会がもたれたことは、戦争勢力に痛打をあたえるものであります。(拍手)
私は、日本共産党を代表して、情勢報告をかねて熱い連帯のあいさつを申し上げます。(拍手)
「原子力空母は安全」は、真っ赤なウソ
原子力空母の横須賀配備問題で、国民が何よりも心配しているのは、放射能の危険という問題です。
米国政府は、四月に「ファクト・シート」(情報資料)なるものを発表して、「安全だ」「安全だ」と繰り返しています。
そのなかでは「原子力軍艦は、五十年以上にわたり、一度たりとも原子炉事故や放射能汚染を起こしたことはない」とか、「原子力軍艦は、千二百回以上、日本の港に寄港したが、一度たりとも放射能汚染をひき起こしたことはない」とのべています。
しかし、どちらも真っ赤な嘘(うそ)であります。
アメリカの原子力軍艦の事故は、原子炉の炉心が溶けるメルトダウンにつながる事故、原子力潜水艦の沈没事故など、多発しているではありませんか。
一九九六年と九八年にアメリカの原子力潜水艦が横須賀に寄港したさいには、通常の三倍もの放射能が検出されているではありませんか。
「事故が一度もない」というけれども、軍事機密によって「事故を一度も発表してこなかった」というのが、ことの真相ではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
米国政府の真っ赤な嘘をうのみにして、受け入れを決めた日本政府の卑屈な態度は、絶対に許せるものではありません。(拍手)
“軍事の論理”を優先させる――ここに危険の根源がある
空母ジョージ・ワシントンに積んである原子炉の出力は、美浜原発1号炉の出力に匹敵します。しかも、原子力軍艦の原子炉の危険性は、一般の原発に比べても高い。それは、“軍事の論理”が、安全に優先させられるからです。
第一に、原子炉の出力を急激に上げ下げするという危険です。一般の原発では、出力を最大にするのに三日以上をかけるそうです。ところが原子力軍艦の原子炉は、たった一分で出力を最大にするといいます。チェルノブイリ事故では、出力調整が事故の引き金となりました。無理な出力の上げ下げが危険を深刻なものにします。
第二は、原子力空母の原子炉には、日本政府の規制と監視がいっさい及ばないということであります。
原子炉等規制法という法律があって、原子力で動く船は、日本の港に入る六十日前には、安全審査の書類を出さなければならないとなっています。ところがこの法律では、「アメリカの軍艦をのぞく」と書いてあります。安全が疑われる軍艦が、自分で「安全だ」といえば、フリーパスになる。泥棒が自分が「やっていない」といえば、無罪放免ということになったら、警察もいらなければ、裁判所もいらないではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
原子炉事故がおころうと、放射能が漏れようと、監視も規制もできない。こんな恐ろしい無法状態を絶対に許すわけにはいきません。(拍手)
みなさん。“軍事の論理”を優先させる――ここに危険の根源があります。
私は、先日、沖縄にうかがったさいに、宜野湾市長の伊波さんと話をしたときに、印象深い話を聞きました。
一九八〇年代終わりにアメリカの海兵隊のヘリコプターが天候が悪くて海に墜落しました。たくさんの米兵が死にました。そのときアメリカの海兵隊の司令官は何といったか。
「海兵隊はこうやって強くなる」と言ったのです。たくさんの部下が死んでいるというのに、このことを痛みとせずに、ヘリコプターが戦争で落ちるのは当たり前だ、こうやって強くなるのが米軍なんだと言ったのです。人間の命や安全よりも、戦争にいかに勝つかが大切だ。みなさん、これが“軍事の論理”なのです。
そういう“軍事の論理”を背負った原子力空母が来るなどということは、断じて認めるわけにはいかないではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
陸海空そろっての“殴り込み”態勢強化は許されない
どうして、こんな危険な軍艦を、新たに配備しようというのでしょうか。この根本には、日米両国政府が「米軍再編」の名ですすめている危険な動きがあります。
六月二十九日に日米首脳会談で交わされた「共同文書」では、「世界の中の日米同盟」が宣言されました。これは、日米が、文字どおり地球的規模で軍事的な共同をやろうという宣言です。
その焦点がどこにあるか。日本列島全体で矛盾が噴き出していますが、とりわけ三つの焦点があります。一つは沖縄、二つ目は岩国、三つ目は、この首都圏なのであります。
海軍では、横須賀基地に原子力空母を配備する。空母を守るのは、そこに泊まっている海上自衛隊の護衛艦です。
陸軍ではどうか。キャンプ座間に、米本土から陸軍第一軍団の司令部を新しく改編して持ってくる。そこに陸上自衛隊の海外派兵部隊がいっしょに配備され、いっしょになって海外に打って出ていく態勢をつくろうとしています。
空軍では、米軍横田基地に、航空自衛隊の司令部を持ってきて、これもいっしょになって出撃する。
陸海空そろって全世界への“殴り込み”態勢を強めようというのが、この首都圏で起こっていることであります。
だいたいみなさん。首都圏に、外国の軍隊があること自体が、許されないではありませんか(「そうだ」の声、拍手)。その撤退を私たちは強く求めます(拍手)。その強化はなんとしても食い止めようではありませんか。(拍手)
「米軍再編」合意撤回を――この声を列島すみずみで
全国で、自治体ぐるみ、住民ぐるみのたたかいが、力強く前進しています。
沖縄では、名護市長が基地受け入れを容認したけれども、その直後におこなわれた沖縄市の市長選挙では、革新共闘の候補者が堂々たる勝利を勝ち取りました。(拍手)
岩国では、「艦載機移転反対」の一点で、住民投票と市長選と、二度にわたって市民の審判が下されました。(拍手)
座間と相模原では、保守の方々もふくめて自治体ぐるみのたたかいが力強く、頑強に前進しています。
横須賀でも、反対署名は、市民のみなさんを中心に五十万を超え、神奈川新聞は、六月に入って二度にわたって、「あくまで『ノー』をつらぬけ」との社説を掲載しました。(拍手)
県民の多数は受け入れに反対です。
「米軍再編」のために国民の税金を三兆円も使うという計画が、怒りの火に油を注いでいます。
いまお年寄りに住民税の大増税が襲いかかっています。役場はどこへいっても行列です。怨嗟(えんさ)と怒りの声が日本列島に沸騰しています。この大増税は年間千六百億円です。三兆円といえば、その十九年分です。お年寄りからお金を吸い上げて、国民を苦しめる米軍のために貢ぐなどという逆立ちした政治を絶対に許すわけにはいきません。(「そうだ」の声、拍手)
みなさん。基地強化反対の一点で、自治体ぐるみ、住民ぐるみのたたかいを発展させましょう。全国各地のたたかいの連帯をつよめ、すべての国民が手を携え、「米軍再編」の日米合意を撤回させようではありませんか。(拍手)
私たち日本共産党も、最後まで、ともにたたかいぬく決意を申し上げまして、ごあいさつといたします。ともにがんばりましょう。(大きな拍手)