2006年7月9日(日)「しんぶん赤旗」

“命削り米軍に貢ぐ”

日本医師会研究機関 社会保障費削減を批判


 平時の国家安全保障である社会保障費よりも、有事の国家安全保障が優先されている――日本医師会の研究機関・日本医師会総合政策研究機構(日医総研)が、日本の国家財政をこう分析したリポートを公表しています。

 リポートは「国家財政の実態―社会保障費の削減によって財政は健全化するか―」。前田由美子主席研究員が六月二十八日にまとめました。

 リポートでは、(1)国家財政では基礎的財政の黒字がすべてか(2)社会保障費削減に手をつけなければいけないほどか(3)国民の命を守る平時の安全保障である社会保障費を守る余地はないか―との問題意識で検討。それぞれ政府の説明に根拠がないことを示しています。

 なかでも「国家安全」という視点で、社会保障費と「防衛費」を対比。〇三年度は「イラク復興支援」として千百八十八億円の補正予算が組まれる一方、翌年度は診療報酬改定で七百十七億円の国庫支出が削減された例を示し、「『イラク』あるいは『米軍』対策のために、社会保障費が調整されている」。

 また、〇六年度予算では「思いやり予算」など在日米軍に支出される二千六百六億円は、診療報酬改定による国庫負担削減分二千三百九十億円を上回ることを紹介。「イラク派兵が強行採決され、思いやり予算は死守され、今また在日米軍移転費用が捻出(ねんしゅつ)されようとしている…国民の命を削って、国民の命以外のもののために防衛費等が貢がれようとしている」「平成十九年度(二〇〇七年度)予算では、社会保障を黙って削って、在日米軍移転費用等を強行採決することがないよう厳しく監視したい」と結んでいます。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp