2006年7月8日(土)「しんぶん赤旗」
核保有国に批判集中
国際司法裁判所の「核兵器違法」勧告
10周年で国際会議
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【ブリュッセル=浅田信幸】「核兵器は違法」とした国際司法裁判所(ICJ、ハーグ)の「勧告的意見」の採択(一九九六年)から十周年を記念して六日、核軍縮を目指す国際会議が六日、ブリュッセルの欧州議会で二日間の日程で始まりました。発言者からは、核兵器の違法性を再確認するとともに、米国をはじめ核保有国が核軍縮を怠り、逆に近代化を進めていることに批判が相次ぎました。
元ICJ判事で勧告採択にかかわったクリストファー・ウィラマントリ氏(スリランカ)は、核兵器使用が大量虐殺や環境への損害、不必要な損害、将来の世代にわたる損害を引き起こすことを挙げ、「国際慣習法と相いれない」と指摘。核兵器の使用と威嚇は一般的に違法としたICJ勧告の重要性を改めて強調しました。
国際人道法大学センター(ジュネーブ)のルイーズ・ドスワルドベック氏も、「核兵器の被害を前もって予測することは困難だ」として、核兵器使用は、無差別殺人などを禁じる国際人道法に違反しているとした勧告を支持。ベルギーの平和団体のハンス・ラメラント氏は、欧州に約四百八十発ある米国の核兵器を念頭に、「核兵器の配備も違法だ」と訴えました。
一方、ICJ勧告が核軍縮のための交渉を誠実に実施するよう求めていることに関し、米国の民間組織、西部諸州法財団のジャクリーン・カバソ氏は、「核保有国は軍縮義務を怠ってきた」と指摘。最大の核保有国である米国が、核兵器使用に向け「核弾頭やその運搬手段の近代化を進めている」と批判しました。
英核軍縮運動(CND)のレイ・ストリート副議長は、「勧告から十年が経過した今も核保有国は核抑止力の名の下で核兵器を手放そうとしていない。ICJの勧告を核保有国の政府とそれを支持する勢力に理解させなければならない」と述べ、そのための運動を強めるよう訴えました。