2006年7月7日(金)「しんぶん赤旗」

大阪市 国保料 3倍も

算定方式変更 低所得者泣かせ


 大阪市では今年、国民健康保険料算定方式の変更で、保険料が低所得者層を中心に三倍、四倍に値上げされています。「年寄りは生きるなと言うことか」と市民は怒り、各区役所には毎日、二百人、三百人と相談や減免申請に訪れています。「大阪市の国保をよくする実行委員会」は七日に大阪市とこの問題で交渉します。(大阪府・生島貞治)


 「あまりに腹が立って腹が立ってとにかくだれかに言いたくて」と「しんぶん赤旗」編集局に怒りのメールを送ってきたのは平野区の女性(40)。小学一年生の息子と実母(71)の三人世帯です。六月半ばに送られてきた納付通知書を見てビックリ。住民税非課税世帯にはこれまでなかった「所得割」が新たに課せられました。保険料は昨年の十六万三千五百二円から三十三万千百四十一円へと十七万円近くアップしました。経過措置で今年度は、前年度の方式で保険料が一・五倍を超える部分が減額されますが、それでも約七万二千円アップになります。

 仕事は婦人服の販売員で、昨年の収入は二百六十五万円。年収の一割近くが保険料です。

 「これから教育費もかかってくるし、生活を切り詰めるところがない。保険料を払わなければ保険がなくなる。私たちのような貧乏人は病気になって死んでもいいと考えているのでしょうか」と憤っています。

 値上げは関淳一市長が、いわゆる「中間所得層」の負担軽減のため、「非課税世帯にも広く負担していただく」と提案したものです。日本共産党の北山良三市議は、三月二十九日の大阪市議会本会議でこの国保料算定方式の変更に反対討論をしました。「市の試算でも(保険料が)これまでの四・三倍にもなる高齢者がでてくる。住民税非課税の高齢者の中で、『所得割』保険料が新たに賦課される世帯が大きく増加する」と指摘し、「『中間所得層』の保険料の軽減に『高齢者の低所得者』を犠牲にするやり方は間違っている」と批判しました。しかし、市長の値上げ提案は、自民、民主、公明の各会派が賛成し、可決しました。


 大阪市の国保料の算定 「平等割(世帯ごと)」「均等割(人数に応じて)」「所得割」の合計で算出します。今年度変更されたのは保険料のうち「所得割」の部分です。これまでの住民税をもとにした計算から、所得に応じた計算方式に変更。このため「所得割」がかかってこなかった住民税非課税世帯にも、世帯の総所得が三十三万円を超えると新たに「所得割」が課せられ、一気に負担が増えました。


泣き寝入りしない

生健会などが減免制度活用

 全大阪生活と健康を守る会連合会の松岡恒雄会長は、「今回の算定方式の変更で収入の一割を超える保険料になり、ますます払えなくなっています。緊急に高齢者や低所得者に対する『所得割』の減免制度を創設し、だれもが払える保険料にすることが求められています。そのための運動を強めていきたい」と話しています。

 国保料への怒りや不安が広がるなか、民商や生健会、民医連などでつくる「大阪市の国保をよくする実行委員会」や社会保障推進協議会、日本共産党などは、相談会や区役所との交渉に取り組み、減免制度の活用など負担軽減に奮闘しています。


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