2006年7月1日(土)「しんぶん赤旗」

地上デジタル放送 米軍機が乱す

飛来時に画像静止

神奈川 厚木基地で広範囲に


 米軍厚木基地(神奈川県)を離着陸する米軍の空母艦載機や自衛隊機の飛来時に、高画質な映像を「最大の魅力」としている地上デジタル放送の画像が一時的に静止するなどの障害が広範囲で発生していることが、三十日までにわかりました。


 同県綾瀬市が調査したもの。米軍基地を離着陸する航空機による地上デジタル放送の電波障害の実態が明らかになったのは今回が初めてです。同市では、米空母艦載機と自衛隊機が常駐する厚木基地をかかえ、地上波放送への電波障害を回避するための共同受信事業に六割の世帯が加入しています。

 調査は受信施設業者に委託、今年一月三十日から三月二十九日にかけて市内の二十地点で実施しました。地上デジタル放送の電波測定機器やテレビ受像機などを搭載した車両が、測定地点での受信状況と受信電波を測定。厚木基地への航空機の飛来時に、画像への障害発生状況を目視で判定しました。画像はDVDに記録しています。

 調査の結果、二十カ所中、九カ所で航空機飛来時に画面の一部が正常に表示されなくなるブロックノイズ(四角のモザイク状)や画像が止まるフリーズといった症状の発生を確認しました。

 綾瀬市は昨年十二月から地上デジタル放送の視聴可能区域になっています。市民から「米軍機などの航空機による電波障害が心配だ」などの声を受け、綾瀬市が独自に調べました。

 調査した市基地対策課は「航空機による障害は予想以上のものだった。国に、現在実施している共同受信施設のデジタル対策を求めてきたがいまだ明確な方針が示されていない。この調査結果を念頭に必要な対応を求めていきたい」としています。

 防衛施設庁によれば、共同受信施設は綾瀬市を含め、米軍三沢基地の三沢市など十カ所があります。


解説

「干渉なくなる見込み」が軍事基地ではひんぱんに

 地上デジタル放送は従来のアナログ放送に比べ、高画質な映像、双方向番組など多様な番組提供が可能とされ、現在のアナログ放送は二〇一一年七月に打ち切られようとしています。地上デジタル放送は「外部からの電気雑音による干渉はなくなる見込み」(総務省情報通信政策局)とされています。しかし綾瀬市の調査結果はケーブルテレビを利用せず、アンテナ受信の場合、飛行場周辺では航空機による障害・干渉が発生しやすいことを示しています。とりわけ軍事基地では滑走路への離着陸に加え、編隊による旋回飛行訓練などで電波への干渉時間が長く、それだけ広範囲な地域で障害がひんぱんに発生することを浮き彫りにしています。

 総務省は「今は地上デジタル放送を広げている段階。今後、全国的に普及がすすむ中で(基地周辺で)どんな問題がでているのか必要ならば情報収集など対応することになる」としています。(山本眞直)


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