2006年7月1日(土)「しんぶん赤旗」
米国の核兵器増強に懸念
違法化は現実的提案
大量破壊兵器委員会
ブリクス委員長が会見
【バンクーバー(カナダ)=鎌塚由美】「大量破壊兵器委員会」のブリクス委員長は二十八日、「世界平和フォーラム」が開かれているバンクーバーで記者会見しました。同氏は、軍縮問題は「交渉の停滞によって後退させられている」と指摘し、新型核兵器などで「再軍備」した「(米国)国防総省が警察官になることを世界の多くの国は望まない」と語りました。
ブリクス氏は、米国が新型核兵器の開発など軍備増強を続けていることに懸念を表明。自らの軍備増強の一方で、イランには「行儀よく振る舞えと告げるやり方は、真の共同ではなく、平和の維持を難しくしている」と述べました。
イラク戦争については、「大量破壊兵器を理由に戦争をし、見つからなかったら、今度は民主主義を理由にしている。大きな成功は収めないだろう。代償は大きいが、テロを制圧することにはならないだろう。イラクはいまテロリストの地となっている」と指摘。「軍事的手段では限界があるという警鐘にすべきである」と語りました。
大量破壊兵器委員会が六月一日に発表した報告書「恐怖の兵器―核・生物・化学兵器からの世界の解放」は、すべての核保有国に対し「核兵器に依拠しない安全保障の立案を開始し、核兵器違法化の準備を始めるべきだ」と提言しました。
同日の世界平和フォーラム分科会パネリストとして発言したブリクス氏は、この提言について、核兵器違法化へ向けた「現実的な段階的」提案だと紹介。大量破壊兵器についての議論では「市民社会の役割が必要とされている」と語り、「納税者として声を上げないかぎり、軍産複合体は止められない」と述べました。同時に、「貿易分野で自明の理となっている法の支配」を軍縮にも当てはめることが必要だと強調しました。
同分科会には、報告書の作成に参加したランディ・ライデル氏らも参加。ライデル氏は、報告では兵器そのものを廃絶することを重視したとし、各国からの十四人の有識者が「核兵器の違法化で合意したことは大きな前進だ」と語りました。