2006年7月1日(土)「しんぶん赤旗」
主張
日米首脳会談
国民苦しめ孤立招く同盟強化
小泉首相とブッシュ大統領が会談し、共同文書「新世紀の日米同盟」を発表しました。
今回の文書は、小泉首相が五年間にわたりすすめてきた日米軍事同盟の侵略的変質のとりくみを、小泉後の政権にも引き継がせるために、作成されたといわれます。世界で孤立するアメリカとアジアで孤立する日本の二人の首脳が会合して、日本をさらに危険な道にひきこもうというものです。日本国憲法をふみにじって、侵略的に大変質させた日米軍事同盟を、二十一世紀にわたって国民に押し付けることを許すわけにはいきません。
アメリカとの一体化
共同文書がうたった「世界の中の日米同盟」とは、端的にいえば、自衛隊を世界各地に派兵し、アメリカの世界戦略のもとで日米軍事協力を世界に広げることを意味します。
小泉首相は、政府が「純粋に防衛的な条約」と公的に説明してきた日米安保条約を侵略的に大変質させ、現に戦争がたたかわれているアフガニスタンやイラクに自衛隊を派兵し、米軍の戦争を支えてきました。戦争放棄と武力の行使を禁止した憲法をふみにじる態度に、国民が反対してきたのは当然です。
共同文書は、アメリカとの共通戦略の策定や先制攻撃の戦争を進める米軍再編の合意を、「歴史的な前進」であり、「変化する安全保障環境」に対処するものだと強調し、その「合意の完全かつ迅速な実施」を約束しています。イラク派兵のような「国際平和協力活動」を危険な戦地であっても実施することや、アメリカがたたかうところにいつでも派兵できる「派兵恒久化法案」の制定を織り込んでいることは容易にみてとれます。それは国民にさらなる犠牲を求める道です。
共同文書はアメリカと一体でこうした軍事協力をすすめる立場から、アジアや中東で共同行動を強めることをあきらかにしています。イランの核問題でもアメリカの態度を支持し、「断固とした態度」で、共同してとりくむことで合意しました。しかし、日米のこうした行動が、これらの地域と世界に平和をもたらす保障はありません。
現にアメリカがはじめたイラク戦争がイラクに泥沼の事態をもたらし、国際的な批判をあびて、多国籍軍として軍隊を送った国々は相次いで撤退しています。軍事力で世界を押さえ込もうというやり方が世界に受け入れられるはずはありません。アメリカいいなりで軍事協力を世界に広げることはやめるべきです。
首脳会談ではブッシュ大統領が靖国問題をめぐる中国との関係について、「中国はどうなっているか」と異例の言及をしたと伝えられています。小泉首相は日米関係がうまくいけば他の国ともうまくいくと繰り返してきましたが、こうした言及自体対米一辺倒の小泉外交が破たんしていることを示すものです。
靖国神社参拝を強行し、アジア外交を重大な事態においこんでいることを反省もせず、日米が協力すればアジアの批判をかわせるなどというのは、独りよがりの言い分でしかありません。
対米追随やめよ
国民を苦しめ世界でもアジアでも孤立を深めるアメリカ追随外交は根本から正されるべきものです。
米軍基地の強化反対、憲法改悪反対など共同のたたかいを広げるとともに、アメリカ追随政治の根源である日米安保条約解消の世論を広げていくことがいよいよ重要です。