2006年6月29日(木)「しんぶん赤旗」

“式中断しても立たせる”

「君が代」解雇裁判 原告が強制の実態証言


 卒業式で「君が代」斉唱時に起立しなかったことを理由に定年後の再雇用を取り消され事実上解雇された東京都立高校元教員十人が、その撤回を求めて都教育委員会を訴えた裁判の第十三回口頭弁論が二十八日、東京地裁(佐村浩之裁判長)で開かれ、原告四人に対する尋問が行われました。

 原告らは、二〇〇三年に都教委が出した10・23通達で「日の丸・君が代」の実施方法が細かく決められ、職務命令で起立を強制され、生徒や保護者に「内心の自由」について説明することも禁じられた実態を告発。教育の場に命令、強制はなじまないと訴えました。

 二〇〇五年三月の卒業式で起立せず再雇用を取り消された元教員は、生徒に起立を指導することまで職務命令で強制され、副校長が「多数の生徒が不起立なら式を中断して立たせる」といったと証言。それ以前の式では自分の意思に反して起立していたが「生徒にまで強制することはたえられない」と、処分を覚悟で起立しなかったと語りました。

 また、教職員に名札をつけさせ、「君が代」斉唱時には教職員席の前を都教委の職員らが回って起立を確認していたことを証言。「囚人にされたような屈辱感を覚えた」とのべました。

 別の元教員は、生徒たちが主体となって実施した卒業式の感動的な様子を語り、都教委が命令で現場に特定のやり方を押しつけていることを批判。「内心の自由」について説明することは、「日の丸・君が代」にたいするさまざまな意見やアジアの視点を教える貴重な機会であり、それが認められなくなったことの不当性を訴えました。


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