2006年6月28日(水)「しんぶん赤旗」
伊国民投票
首相権限の拡大・連邦制導入
憲法改定案を否決
【パリ=浅田信幸】イタリアで首相権限の拡大と連邦制導入を盛り込んだ憲法改定案を問う国民投票が二十五―二十六日に実施され、開票の結果、60%を超す反対で否決されました。
改憲案は、退陣したベルルスコーニ右派連立政権が昨年末、野党・中道左派勢力の反対を押し切って議会を通過させたもの。前首相にとっては四月の総選挙、五月末の地方選挙に続く連続敗退となりました。
改憲案は、議会の解散権を大統領から首相に移し、保健や教育、警察などの権限を国から州に移譲するというものです。
総選挙で勝利したプローディ現首相と与党の中道左派連合は「豊かな北部と貧しい南部を分裂させる」とし、総力を挙げた反対運動を展開。一方のベルルスコーニ氏らは「国家の近代化のために必要」と主張し、激しいキャンペーンが展開されました。
開票結果によると、反対は61・7%。反対票は南部で74・8%、中部で67・7%に達し、経済的に豊かな北部でも52・6%の多数を占めました。投票率は53・6%。
プローディ首相は二十六日、国民投票の結果について、「国民は改憲案を共和制の安定にとって危険だと明確に判断した」と評価しました。
マスコミは国民投票を「プローディ氏とベルルスコーニ氏の最後の決戦」と注目。すでに政権末期から右派連合の指導者として疑問の声が上がっていたベルルスコーニ氏が、連続敗退でいっそう厳しい立場に追い込まれる可能性もあります。

