2006年6月27日(火)「しんぶん赤旗」

オペルのポルトガル工場閉鎖計画

労働者の抗議 欧州で拡大


 ドイツからの報道によると、米国の自動車メーカー大手、ゼネラル・モーターズ(GM)の子会社オペルの人員削減政策に欧州レベルで抗議行動が広がっています。

警告の時限スト

 十月末に迫っているポルトガルのアザンブージャ工場閉鎖に対しては、ポルトガルのほか、ドイツのリュッセルハイムとカイザースラウテルンの両工場、オーストリア、ベルギー、スペイン、ハンガリーの工場で警告の時限ストや閉鎖反対の職場集会がおこなわれました。二十六日からの週には欧州全域でさらに抗議行動は拡大する見込みで、ドイツではボッフム、アイゼナハで警告ストに突入する予定です。

 GMは欧州でオペル(本社ドイツ)、サーブ(スウェーデン)、ボグゾール(英国)の三つの子会社を持っていますが、一昨年には三社で一万二千人の人員削減を一方的に発表。これに対し、労働者がストなどでたたかい、昨年三月に解雇はせず、希望退職と高齢労働者の出向・パート切り替えで一万人の人員削減で合意した経過があります。

 今回の人員削減攻撃はGMの幹部が三月に英フィナンシャル・タイムズ紙上で「昨年の人員削減は不十分だった」と語り、始まりました。同幹部は、GMはオペルのアストラ車生産を担っている独ボッフム工場、英エリズミアポート工場、ベルギーのアントワープ工場、ポーランドのグリビツェ工場に競争をさせ、効率の悪い工場一つを今年末までに特定し閉鎖するとのべました。

 また、別に小型トラックのコンボを生産しているアザンブージャ工場は閉鎖し、千百人の首を切ると発表しました。

 これに対し、労働者側は欧州の工場を閉鎖し、アジアなどへ移転する戦略の一環と警戒。オペルの欧州事業者評議会のクラウス・フランツ議長は一方的に決めるのではなく、「建設的に交渉せよ」と要求し欧州レベルでの抗議行動を呼びかけました。

税金支援を批判

 ドイツの金属産業労組(IGメタル)のペーターズ委員長は「利益をあげていながら、ドイツの工場を閉鎖し外国に移る大企業には、これまで行政が支援した補助金を返却させ、特別な税金をとるべきだ。労働者が職場を失うのに、その企業に税金から支援があるのはおかしい」と移転する企業への厳しい対応を求めました。

 また欧州金属産業労組のシェーラー氏は今回のオペルのやり方に対し、欧州各地の工場の労働者を競い合わせて漁夫の利を得るやり方だと非難しました。(片岡正明)


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