2006年6月26日(月)「しんぶん赤旗」

英・核兵器システム更新

与党・労組からも批判

首相後継者が「支持」で波紋


 【ロンドン=岡崎衆史】二〇二四年退役予定の潜水艦発射弾道核ミサイル・トライデントの後継システム導入を英政府が目指していることについて、与野党や労働組合など幅広い勢力の反発が強まっています。

 きっかけは、次回総選挙前の退任を表明しているブレア首相が自らの後継者としているブラウン財務相が、二十一日の演説でトライデントの更新を支持したことです。与党・労働党では、同氏の首相後継に反対する声も広がっています。

 同党のクレア・ショート議員(元国際開発相)は二十二日、BBCラジオで財務相発言に触れ、「ブラウン氏の党首引き継ぎを支持するとしてきた多くの人々も、党首選挙が必要だと感じ、その選挙では彼を支持しないと考えている」と警告。その他、少なくない労働党議員が、ブラウン氏の首相後継に反対するとの見方を示しました。

 同党のゴードン・プレンティス議員も、「多額の予算を軍縮ではなく核兵器の更新に拠出しようとしながら、核兵器保有を断念するよう他の国を説得できるのか」と述べ、イラン核開発問題を英国が批判することとの矛盾を指摘しました。

 マイケル・ミッチャー議員(元環境担当閣外相)が国会に提出した、トライデント更新を国会の表決で決めるよう求める動議には、労働党議員九十三人を含む百二十二人の議員が署名しました。

 ブレア政権下で貿易産業相や北アイルランド相を務めたマンデルソン欧州委員(通商担当)も二十三日、BBCで、予算や核戦力も含めた英国の将来の安全保障のあり方についての包括的な議論を経た上で、国会の表決によって更新の是非を決めるべきだとの考えを示しました。

 労働党支持労組で二番目に大きい公共サービス労組ユニソンは二十日から英南部ボーンマスで開いている年次総会で、トライデント更新に全会一致で反対するとともに、現在の核兵器システムを解体するよう求めました。ユニソンのプレンティス書記長は、ブラウン財務相の首相後継について、政策によっては支持しない場合がありうることを表明しています。

 野党・自由民主党の「影の国防相」のニック・ハービー議員は二十二日、「二百五十億ポンド(約五兆三千億円)もの支出が求められる事柄については、包括的な白書の発表と国会による徹底した吟味を英国民に対して保障すべきである」と発言。ブラウン氏の演説を機にトライデント更新を一気に進めようとする政府の姿勢を批判し、トライデント更新に変わる他のシナリオの考慮も含めた包括的な安全保障政策の検討を政府に求めました。


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