2006年6月26日(月)「しんぶん赤旗」

横田・厚木・嘉手納基地

爆音賠償 米が拒否

34億円 日本肩代わり


 横田、厚木、嘉手納各米軍基地の爆音被害にたいして裁判所は、総額二十七億六千六百万円の賠償命令を下していますが、アメリカ政府は「日本政府が支払うべきもの」として、支払いをいっさい拒否していることが判明しました。賠償は日本政府が立て替えています。


 日本政府は、グアム基地建設費など「日本防衛」と関係のない三兆円もの米軍再編経費を約束しながら、日米地位協定の賠償義務さえ無視したアメリカの横暴勝手を許しています。

 横田、厚木、嘉手納各基地周辺住民は、家族だんらんを妨げ安眠を奪う米軍機の爆音被害をなくすため、夜間・早朝の飛行差し止めを求め裁判闘争を続けてきました。一九九三年以来の判決は、夜間・早朝の飛行差し止めと将来の爆音被害への賠償は認めないものの、米軍の不法行為を認め、住民がそれまで受けた爆音被害にたいして、確定判決は国に賠償支払いを命じています。

 裁判所が国に命じた賠償総額は約二十七億六千六百万円。国が支払った総額は、訴訟開始時からの遅延金をふくむ約三十四億四千二百万円です。

 このうち、数次にわたる横田訴訟の賠償命令合計が約十一億一千七百万円。国が支払った額は約十五億四千六百万円です。厚木訴訟では約二億七千六百万円。国の支払額は、約三億五千六百万円です。嘉手納訴訟では約十三億七千三百万円。国の支払額は約十五億四千万円となっています。

 本来、騒音は米軍機によるもので賠償金はアメリカに支払い義務があります。米軍の特権を認めた屈辱的な日米地位協定によっても75%をアメリカが支払うと明記しています。

 アメリカ政府が裁判所の賠償命令を拒否し、一円も支払っていない理由について外務省は説明を避けていますが、横田一次訴訟のさいアメリカ政府は応訴拒否を伝える口上書のなかで、「日本政府のみが責任を負うもの」といっています。

 日本共産党の緒方靖夫参院議員が提出した質問主意書にたいする答弁書でも、政府は、日米間の「協議はなお妥結を見ていない」という十数年来くりかえしている見解に固執しています。


解説

爆音被害の賠償拒否

日米地位協定さえ無視

 米軍基地周辺の爆音被害は、憲法が国民に保障している「健康的で文化的な最低限度の生活」さえ破壊する非人道的状態にしています。

 地下鉄車内の音に相当する八〇デシベル、騒々しい工場内の音に相当する九〇デシベル、電車が通るガード下の音に相当する一〇〇デシベル、リベットを打つ音の一一〇デシベル、米軍機は夜間・早朝、こんな爆音が住民を苦しめています。

 裁判所が米軍の不法行為を認め、国に賠償を命じているのは当然です。

 米軍の特権を認めた日米地位協定は「合衆国のみが責任を有する場合」は「裁判所により決定された額」の75%をアメリカが支払い、25%を日本が支払うと規定しています。アメリカはその規定さえ無視して、全額を日本政府に支払わせようとしています。これはアメリカが日本はアメリカいいなりだということを見透かしてのことです。

 日本政府にはこのアメリカの横暴をただす意思も勇気もありません。

 日米地位協定一八条に規定する「公務執行中」の米軍の「作為もしくは不作為」が与えた「損害」についてさえ、外務省は、「作為」に「米軍機が入っているかどうかいえない」、「損害」に「米軍機による騒音被害がふくまれるかどうかはいえない」という驚くべき説明をくりかえしています。

 これでは政府の立場からいっても、地位協定を結んだ意味はないことになります。「日米協議を続ける」との説明は、問題解決を先延ばしにしようという思惑といわれても仕方がありません。米軍機爆音被害の賠償は全額日本が負担せよというアメリカの主張に合わせて、地位協定の解釈さえあいまいにしようとするなど許せることではありません。

 こうしたアメリカいいなりの姿勢が、アメリカ政府を増長させ、「日本防衛」とも無関係なアメリカの軍事態勢強化のための経費負担まで要求させる原因となっています。今月四日の日米防衛首脳会談で、ラムズフェルド米国防長官は、米軍再編について、「グアム移転費を出せるのか」「特別の予算措置を考えているのか」と日本政府を問い詰めました。支配国が従属国を詰めるやり方です。

 「世界のなかの日米同盟」などといって、対米従属を強めれば強めるほど、アメリカの無理難題の要求をさらにエスカレートさせるだけです。

(山崎静雄)


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