2006年6月19日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

障害者自立支援法

補助増へ地域ぐるみで


 障害者自立支援法の実施から二カ月。「応益負担」による利用者の大幅負担増と施設への報酬激減で運営が深刻な状況に立たされています。日本共産党は「利用者負担と施設経営の危機打開へ制度の抜本的改善を」との実態調査にもとづく緊急要求を出しました。静岡県掛川市の障害児家族と神奈川県川崎市の福祉施設の実態と取り組みを紹介します。


静岡・掛川

涙の訴え 独自軽減検討

地図

 「障害児と身障者一級の義母を抱える八人家族。夫一人が働き経済的にも大変。働きたくても障害児を抱え働けない」―静岡県掛川市でも切実な訴えが広がっています。

 人口十二万人の同市は、障害者自立支援法に基づく支給・減免の申請者が約五百人(入所者・在宅者)います。また、福祉施設は十一施設あります。

 日本共産党は昨年十二月議会で市独自の軽減策を求めました。

 戸塚進也市長の答弁は、国で決まった以上はその通りに行うこと、市として考えなければならないことは個別の問題として考える―というものでした。

 「これまで、利用料・給食費は月平均九千円でした。自立支援法で予想される金額が二万八千円では高すぎます」

 親たちが五月に、市長に窮状を訴え、市独自の負担軽減を求め立ち上がりました。きっかけは、市内にある組合立東遠学園こども発達センター「めばえ」(外来・通園、零―六歳)を利用している母親から、党議員に負担軽減をできないか相談が寄せられたことです。

 「めばえ」に四歳の息子を通わせている斎藤聖世さん(34)は「ホームヘルプ代、おむつ代、都市部への通院の交通費など健常児に比べ普段からお金がかかるのに、このままでは通わせられない」と話します。

 これから子どもが成長していくにあたって、一生かかわってくる大事な問題です。

 五月二十六日、市長あてに要望書を提出し直接訴えました。二十人前後の父母の多くが、わが子を抱いて参加しました。

 「子どもが十五分以上寝てくれない日々が続き、母親が難聴になって、死を意識するつらい時期があったが、『めばえ』で保育士や同じ境遇の母親たちと出会い安堵(あんど)し励まされた」「『めばえ』で療育を受け地元の保育園に通えるようになった。障害児というだけで高負担では次の出産は考えられない」など涙ながらの訴えでした。

 戸塚市長は施設「めばえ」について、組合立東遠学園として軽減できるよう検討し、できなければ個人的意見として市独自でも検討したいと答えました。

 関係する御前崎、菊川両市と森町にも要望書を提出し、菊川市は「めばえ」を視察するなどの動きも出ており、今が頑張りどころです。

 党市議団は、国に制度の抜本的な見直しを求めると同時に、六月議会に向けて三市一町に請願書を提出し、軽減策実現にむけ議会内外で共同を広げることにしています。

(鷲山喜久・掛川市議)


川崎

利用者も施設も大変

工賃アップ、販路拡大… 通所意欲はぐくむ

 知的障害通所授産所「多摩川あゆ工房」(神奈川県川崎市)は一九九四年に開設し、定員五十人のところ五十二人を受け入れています。63%の利用者が障害程度Aランク(最重度、重度)です。

 二〇〇一年に「ワークショップあゆ」(十人)、〇五年に「ぽぱい」(十八人)を開設し、総定員は七十八人になりました。

 障害者自立支援法によって、施設運営は大変厳しくなります。利用料の自己負担導入にあわせ、施設・事業所への支援費の報酬単価引き下げと、支払い方式が月額制から日額制になったためです。

 施設長の飯島克己さんは「仮に利用者出席率95%、土日祝日を休暇にして年間二百四十五日として計算すると、年間千五百五十万円の赤字になります。実態は利用者の出席率は良くて90%程度ですから、もっと赤字が膨らみます」と制度の不合理さを指摘します。

 作業内容は、焼き菓子、木工作業、園芸作業、ポスティング、ビラ折り、高齢者家庭の清掃・草取り、寺院・教会・墓地清掃などです。

 飯島さんは「施設運営を続けるために、職員の一時金や給与の削減で切り抜けることが考えられますが…」とことばを切りながら、「今でも低い収入なのに。職員の継続性、経験の蓄積が困難な状況が進むことになります」といいます。

 あゆ工房では、利用者が休まずに張り切って通所できるよう、工賃のアップとクラブ活動の充実や、焼き菓子のほかに常食のパン焼きを取り入れ、同じ法人の二つの保育園の給食や周辺団地への販売ができないか―を検討しています。

 現在、園芸作業で育てた花を保育園の庭や周囲に植えたり、周辺の公園で花の販売を行い評判を呼んでおり、工賃の引き上げにも役立っています。出席率の向上のために楽器演奏、絵画などの充実を考えています。

 これまで、市内の法人や家族会と協力して市議会請願署名に取り組み、市独自の障害者負担の軽減、施設への助成を求めてきました。

 あゆ工房を運営している「なごみ福祉会」理事の市村護郎さんは「請願が採択され、市独自の助成策が実現しました。こうした運動が父母や障害者本人を励ましているのでしょうか、施設で利用をやめるケースは今のところ出ていません」といいます。

 後援会はバザーやコンサートを開き援助しています。後援会と職員の自立支援法合同学習会も開きました。

 市村さんはいいます。「なごみ福祉会は、知的障害者の生活の場となるグループホームも八カ所運営していて、こちらの運営もたいへん厳しい状況が考えられます。今後も、国や市に向けて自立支援法の抜本的改善、補助の増額・継続を要求していきたいと考えます」


 障害者自立支援法 障害福祉サービスは原則1割負担となりました。通所施設では、例外なくすべての障害者が、これまで無料であったのが一気に1万―3万円(給食代を含む)もの支払いを強いられます。工賃収入を大幅に上回る利用料負担に、障害者が働く意欲をなくし、施設利用をあきらめるなど深刻な事態が生じています。


日本共産党の「緊急要求」骨子

1、国の責任で応益負担導入にともなう実態を緊急に調査すること

2、利用者負担の軽減措置を大幅に拡充すること

3、施設・事業所にたいする報酬を抜本的に改善すること


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